ー特別編ーブラックアウトの夜
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ワイルドナイトに池袋署生活安全課の手入れがはいったの、同日の午後五時のことだった。
客を装った刑事が数人、未成年の従業員をホテルに呼び出し容疑を固めると、ほぼ同時に池袋二丁目のマンションにある事務所に十数人の本隊が踏み込んだ。
ここでオーナーの釜生田吉男四十二歳と雇われのドライバーのひとりが現行犯逮捕された。
事務所に残っていた従業員五名(うち二名が未成年)もそのまま取り調べのため、池袋署に連行されている。
その日非番だったもうひとりの運転手ガロン・ラワディとサヤーは後日取り調べを受けることになった。
ガロン・ラワディは土曜の深夜、池袋署の劇場通りをはさんだむかい側に乗り捨てられたトヨタ・エスティマのなかから発見された。
通報により駆けつけた警察官は、大小便を垂れ流し、自らの吐瀉物でいっぱいになったフードをかぶり意識を失っていたラワディを保護し、救急病院に収容した。
脱水症状がひどかったが、ラワディの命に別状はなく、肩口に軽い火傷の跡が残っているだけだったという。
身体の傷ではなく、やつの心に残った傷の深さをあたしは少々心配したけど、それこそ「スケベな日本人」の余計なお世話かもしれない。
ラワディにフードを被せた夜、あたしたちは木造のアパートの前でサヤーと別れた。
サヤーにはラワディの襲撃現場から恐ろしくなって逃げ出したと警察ではいうようにいいきかせた。
サヤーは誰とも会ってないし、誰も見ていない。
見たのは黒い目だし帽をかぶった数人のヤクザだけ。
サヤーを落としたあと、あたしたちはラスタ・ラヴで休む(成功祝い?)ことになった。
VIPルームにはあたしとタカシと先に待っていた悠くんだけで他の人は一階で騒いでいる。
タカシはベロアのソファーでくつろぎながらいった。
「あの蛇を追ったときも今回もそうだが、お前らは正しいと自分が信じることのためなら、どんなヤバイ手でも平気で打ってくるな。危ない奴等だ。お前らと俺は、案外似た者同士なのかも知れないな。」
池袋の氷の王様とこのあたしが同じ人種とは思えなかったけど、あたしは曖昧にうなずいておいた。
タカシは続ける。
「あの黒いフードだが、身体を拷問で痛め付けるより、俺には残酷に思えた。軍事政権の手口を利用するなんて、悠、お前の悪知恵にはあきれたよ。」
そうなのかもしれない。
あのフードはあたしだって決して後味がよかったわけじゃない。
あたしには返す言葉がなかった。
横目にみると、悠くんは小さくため息をついたように見えた。
「そうだな。けど、人間は正義を振りかざせば何処までも残酷になれる。だって「正義」なんだ、「正義」なら「悪」どんな風に扱おうが許されるし、罪悪感も生まれない。だが…俺は今回かなり卑怯な事をした。知恵を貸すだけ貸して後はリッカに任せたんだからな……。」
悠くんはあたしを見つめて続けた。
「けど、俺は間違っては無かったと思ってる。売春させられてる子どもを助けたんだからな。リッカは胸を張れよ。」
客を装った刑事が数人、未成年の従業員をホテルに呼び出し容疑を固めると、ほぼ同時に池袋二丁目のマンションにある事務所に十数人の本隊が踏み込んだ。
ここでオーナーの釜生田吉男四十二歳と雇われのドライバーのひとりが現行犯逮捕された。
事務所に残っていた従業員五名(うち二名が未成年)もそのまま取り調べのため、池袋署に連行されている。
その日非番だったもうひとりの運転手ガロン・ラワディとサヤーは後日取り調べを受けることになった。
ガロン・ラワディは土曜の深夜、池袋署の劇場通りをはさんだむかい側に乗り捨てられたトヨタ・エスティマのなかから発見された。
通報により駆けつけた警察官は、大小便を垂れ流し、自らの吐瀉物でいっぱいになったフードをかぶり意識を失っていたラワディを保護し、救急病院に収容した。
脱水症状がひどかったが、ラワディの命に別状はなく、肩口に軽い火傷の跡が残っているだけだったという。
身体の傷ではなく、やつの心に残った傷の深さをあたしは少々心配したけど、それこそ「スケベな日本人」の余計なお世話かもしれない。
ラワディにフードを被せた夜、あたしたちは木造のアパートの前でサヤーと別れた。
サヤーにはラワディの襲撃現場から恐ろしくなって逃げ出したと警察ではいうようにいいきかせた。
サヤーは誰とも会ってないし、誰も見ていない。
見たのは黒い目だし帽をかぶった数人のヤクザだけ。
サヤーを落としたあと、あたしたちはラスタ・ラヴで休む(成功祝い?)ことになった。
VIPルームにはあたしとタカシと先に待っていた悠くんだけで他の人は一階で騒いでいる。
タカシはベロアのソファーでくつろぎながらいった。
「あの蛇を追ったときも今回もそうだが、お前らは正しいと自分が信じることのためなら、どんなヤバイ手でも平気で打ってくるな。危ない奴等だ。お前らと俺は、案外似た者同士なのかも知れないな。」
池袋の氷の王様とこのあたしが同じ人種とは思えなかったけど、あたしは曖昧にうなずいておいた。
タカシは続ける。
「あの黒いフードだが、身体を拷問で痛め付けるより、俺には残酷に思えた。軍事政権の手口を利用するなんて、悠、お前の悪知恵にはあきれたよ。」
そうなのかもしれない。
あのフードはあたしだって決して後味がよかったわけじゃない。
あたしには返す言葉がなかった。
横目にみると、悠くんは小さくため息をついたように見えた。
「そうだな。けど、人間は正義を振りかざせば何処までも残酷になれる。だって「正義」なんだ、「正義」なら「悪」どんな風に扱おうが許されるし、罪悪感も生まれない。だが…俺は今回かなり卑怯な事をした。知恵を貸すだけ貸して後はリッカに任せたんだからな……。」
悠くんはあたしを見つめて続けた。
「けど、俺は間違っては無かったと思ってる。売春させられてる子どもを助けたんだからな。リッカは胸を張れよ。」