ー特別編ーブラックアウトの夜
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ラワディの意識は完全に失われては無いみたいだった。
麻痺した身体で横たえられた地面から、目だけ見開いて襲撃者を見上げている。
宮塚さんがラワディの足首をプラスチックのコードで縛り、ぱちりと音を立てて止めた。
ひざとうしろ手に組まれた両手首も同じように固定する。
さすがに手慣れたもので、連携は鮮やかだった。
最後によだれを垂らしたラワディの口にSMプレイなんかでつかうボールギャグを押し込み、後頭部で革ベルトを締めた。
身動きのとれなくなったラワディのところに目だし帽をかぶったタカシが近づいていった。
手には光を吸い込むような黒いベルベットのフードをさげている。
あたしはあんなに必死になった人間の姿を見たのは久しぶりだった。
焼けた鉄板のうえの芋虫のようだ。
タカシはやつの頭に黒いフードをかぶせ、首のところについたひもを軽く引いて蝶結びにした。
キングは悠くんの書いた台詞を、感情のまるで感じられない声で読んだ。
演技などなくとも、やつの氷のような冷たさは本物だ。
「お前は俺たちのシマで、ガキをつかって荒稼ぎしてるのはわかってる」
黒いフードをかぶらされたラワディは、過呼吸状態に陥っていた。
はだけたスーツの胸は水をかけたように汗に濡れ、とんでもない速さで上下している。
「いいか、今夜はおまえに警告をしにきただけだ。だが、おまえがこれからもガキをつかってうちのシマを荒らすようなら……」
そこでタカシは言葉を切ると、あたしの方をみて手を振った。
「……死ぬよりつらい目にあうことになる。いいか、今夜は朝までそいつをかぶってゆっくりと考えるといい。」
タカシがうなずくと、エスティマのリアゲートを開けて、紅さんと宮塚さんがラワディを荷台に放り込んだ。
タカシは助手席で震え上がっているサヤーを連れて、メルセデスにもどってくる。
エスティマはすぐにSウルフのメンバーが運転して現場から離れていった。
あたしはウィンドウをおろして、少年に声をかけた。
「大丈夫だった?サヤー」
サヤーはあたしの顔を見てはじめて安心したようだった。
心配そうにいった。
「ガロンは殺されちゃうの」
あたしが返事をするまえにタカシが目だし帽を脱ぎながらいった。
「俺の演技はそんなに恐かったか」
サヤーはあわててうなずいた。あたりまえよね。
さっきのアクションは普段Sウルフがやっているようなことばかりなのだ。
今回のだしものはノンフィクションである。
あたしは首を横に振った。
「やつを殺すつもりはないわ。タカシ、アナタは地でやってるだけ、どこが演技なのよ。さあ、二人とも早くのって。こんなところ、さっさとずらかろうよ。」
すでに駐車場をふさいでいたPTクルーザーは発信して、ホテル街の角を曲がるところだった。
タカシとサヤーがのりこんだメルセデスのRVは、サヤーのアパートがある下坂橋駅にむかって、ゆっくりと深夜の街を流していった。
麻痺した身体で横たえられた地面から、目だけ見開いて襲撃者を見上げている。
宮塚さんがラワディの足首をプラスチックのコードで縛り、ぱちりと音を立てて止めた。
ひざとうしろ手に組まれた両手首も同じように固定する。
さすがに手慣れたもので、連携は鮮やかだった。
最後によだれを垂らしたラワディの口にSMプレイなんかでつかうボールギャグを押し込み、後頭部で革ベルトを締めた。
身動きのとれなくなったラワディのところに目だし帽をかぶったタカシが近づいていった。
手には光を吸い込むような黒いベルベットのフードをさげている。
あたしはあんなに必死になった人間の姿を見たのは久しぶりだった。
焼けた鉄板のうえの芋虫のようだ。
タカシはやつの頭に黒いフードをかぶせ、首のところについたひもを軽く引いて蝶結びにした。
キングは悠くんの書いた台詞を、感情のまるで感じられない声で読んだ。
演技などなくとも、やつの氷のような冷たさは本物だ。
「お前は俺たちのシマで、ガキをつかって荒稼ぎしてるのはわかってる」
黒いフードをかぶらされたラワディは、過呼吸状態に陥っていた。
はだけたスーツの胸は水をかけたように汗に濡れ、とんでもない速さで上下している。
「いいか、今夜はおまえに警告をしにきただけだ。だが、おまえがこれからもガキをつかってうちのシマを荒らすようなら……」
そこでタカシは言葉を切ると、あたしの方をみて手を振った。
「……死ぬよりつらい目にあうことになる。いいか、今夜は朝までそいつをかぶってゆっくりと考えるといい。」
タカシがうなずくと、エスティマのリアゲートを開けて、紅さんと宮塚さんがラワディを荷台に放り込んだ。
タカシは助手席で震え上がっているサヤーを連れて、メルセデスにもどってくる。
エスティマはすぐにSウルフのメンバーが運転して現場から離れていった。
あたしはウィンドウをおろして、少年に声をかけた。
「大丈夫だった?サヤー」
サヤーはあたしの顔を見てはじめて安心したようだった。
心配そうにいった。
「ガロンは殺されちゃうの」
あたしが返事をするまえにタカシが目だし帽を脱ぎながらいった。
「俺の演技はそんなに恐かったか」
サヤーはあわててうなずいた。あたりまえよね。
さっきのアクションは普段Sウルフがやっているようなことばかりなのだ。
今回のだしものはノンフィクションである。
あたしは首を横に振った。
「やつを殺すつもりはないわ。タカシ、アナタは地でやってるだけ、どこが演技なのよ。さあ、二人とも早くのって。こんなところ、さっさとずらかろうよ。」
すでに駐車場をふさいでいたPTクルーザーは発信して、ホテル街の角を曲がるところだった。
タカシとサヤーがのりこんだメルセデスのRVは、サヤーのアパートがある下坂橋駅にむかって、ゆっくりと深夜の街を流していった。