ー特別編ーブラックアウトの夜
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金曜日の深夜、車二台に分乗して池袋二丁目のホテル街であたしたちは張り込んでいた。
前のクライスラーPTクルーザーに四人、あたしとタカシが乗るメルセデスのRVに紅さんと宮塚さん+Sウルフメンバー二人の計四人。
仕事を終えたラワディが戻ってくるのを待っていた。
チャームポイントの御下げを指で弾きながら、紅さんがいった。
「リッカ、どんくらいでくる予定だ」
デリヘルは二十四時間営業だけど、運転手は二交代制っていってた。
「サヤーによればラワディは午前二時前には、自宅のマンションに帰ってくるはず。」
ラワディのマンションは十二階建てのまあまあ高そうな物件だった。
常夜灯がまぶしいガラス張りのエントランスのわきには、無線でシャッターの上げ下げができる地下駐車場が黒々と口を開けている。
タカシの携帯が鳴った。
ギャルソンの黒ずくめのスーツを着たキングが電話をとった。
ひと言返事をして、通話を切るとタカシはいった。
「ラワディのエスティマが事務所をでた。二、三分でくるぞ」
あたしはみんなにいった。
「打ち合わせどおりにお願いね。特にタカシ、悠くんの書いた台詞をしくじらないでね。」
池袋のキングはニヤリと笑い、カンニングペーパーをあたしに振ってみせた。
「リッカ、ここぞというところで、俺がしくじったことがあるか」
なかった。くらしいから、あたしは返事はしなかった。
「来たぞ。」
助手席の宮塚さんが低く叫んだ。
それからのアクションは、すべてほんの九十秒ほどの出来事だった。
あたしがそのあいだにしていたのは、メルセデスのレザーシートに座り、すべてがうまくいくことを祈るだけだった。
ラワディの白いエスティマがスピードを落としながら駐車場のゲートに近づいてきたとき、まえのPTクルーザーが駐車場の入り口を長い鼻先でふさいだ。
ラワディは短くホーンをならすと、ウインドウをさげて運転席から顔をだした。
「おい、じゃまなんだよ。道をあけろ」
ラワディがイラついて叫んでるあいだに、歩道の植え込みのかげに隠れていたSウルフの一人が、エスティマの後方から中腰で運転席に近づいていった。
あたしは目だし帽をかぶったやつの手のなかにある電気ひげそりくらいの得物を見た。
電圧をちょっと高くした改造スタンガンだ。
Sウルフの一人は窓から首をのぞかせたラワディの右の肩口にスタンガンの先を押し付けた。
電撃は見えなかった。
音も聞こえない。
だけど、運転手はシートベルトを巻き付けたまま、釣り上げられた魚のようにビクビクと身体を痙攣させた。
ラワディはなにかを叫ぼうと口を開いたようだけど、声はまったくでなかった。
もうひとりのギャングがロックをはずしてドアをあけると、上半身はダラリとシートベルトにぶら下がる格好になる。
そこにさらに二人のガキが殺到した。
前のクライスラーPTクルーザーに四人、あたしとタカシが乗るメルセデスのRVに紅さんと宮塚さん+Sウルフメンバー二人の計四人。
仕事を終えたラワディが戻ってくるのを待っていた。
チャームポイントの御下げを指で弾きながら、紅さんがいった。
「リッカ、どんくらいでくる予定だ」
デリヘルは二十四時間営業だけど、運転手は二交代制っていってた。
「サヤーによればラワディは午前二時前には、自宅のマンションに帰ってくるはず。」
ラワディのマンションは十二階建てのまあまあ高そうな物件だった。
常夜灯がまぶしいガラス張りのエントランスのわきには、無線でシャッターの上げ下げができる地下駐車場が黒々と口を開けている。
タカシの携帯が鳴った。
ギャルソンの黒ずくめのスーツを着たキングが電話をとった。
ひと言返事をして、通話を切るとタカシはいった。
「ラワディのエスティマが事務所をでた。二、三分でくるぞ」
あたしはみんなにいった。
「打ち合わせどおりにお願いね。特にタカシ、悠くんの書いた台詞をしくじらないでね。」
池袋のキングはニヤリと笑い、カンニングペーパーをあたしに振ってみせた。
「リッカ、ここぞというところで、俺がしくじったことがあるか」
なかった。くらしいから、あたしは返事はしなかった。
「来たぞ。」
助手席の宮塚さんが低く叫んだ。
それからのアクションは、すべてほんの九十秒ほどの出来事だった。
あたしがそのあいだにしていたのは、メルセデスのレザーシートに座り、すべてがうまくいくことを祈るだけだった。
ラワディの白いエスティマがスピードを落としながら駐車場のゲートに近づいてきたとき、まえのPTクルーザーが駐車場の入り口を長い鼻先でふさいだ。
ラワディは短くホーンをならすと、ウインドウをさげて運転席から顔をだした。
「おい、じゃまなんだよ。道をあけろ」
ラワディがイラついて叫んでるあいだに、歩道の植え込みのかげに隠れていたSウルフの一人が、エスティマの後方から中腰で運転席に近づいていった。
あたしは目だし帽をかぶったやつの手のなかにある電気ひげそりくらいの得物を見た。
電圧をちょっと高くした改造スタンガンだ。
Sウルフの一人は窓から首をのぞかせたラワディの右の肩口にスタンガンの先を押し付けた。
電撃は見えなかった。
音も聞こえない。
だけど、運転手はシートベルトを巻き付けたまま、釣り上げられた魚のようにビクビクと身体を痙攣させた。
ラワディはなにかを叫ぼうと口を開いたようだけど、声はまったくでなかった。
もうひとりのギャングがロックをはずしてドアをあけると、上半身はダラリとシートベルトにぶら下がる格好になる。
そこにさらに二人のガキが殺到した。