ー特別編ーブラックアウトの夜
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「さて…次は…リッカ…さんの…声…ですね。ボイス…チェンジャー…や…イコ…ライザーで…変えて…も…元の声紋は…簡単…に…復元でき…ます。新しく…サンプ…リングした…データが…あって…前から…使いた…かった…ので…ラッキー…です。」
そういうと禅君は舌なめずりをするようにキーボードをたたいた。
液晶画面のしたに声の波形がギザギザにあらわれて、モニタわきのスピーカーから流れるあたしの声と同調した。
『きみの名前と年齢、それに住所は』
禅君は右側だけ何度も髪をかきあげた。
「これを…別な…音声の…サンプ…リング…データ…に…変換…しますと…」
やつはマウスを動かし、左クリックでなにか選択した。
今度はどこか間延びした女の子の声が流れ出す。
『きみーなまえーとねんれい、それにじゅーしょはー』
「わかり…ますか…リッカ…さん」
どこかで聞いたことあるような無いような…。
はっきりとはわからなかった。
禅君は残念そうにいった。
「これは…初音ミク…から…サンプリング…した…声…なん…ですが…わかり…ません…でしたか」
趣味と仕事が密接に関連した禅君みたいな人は、不景気の日本でもまったくしあわせものかもしれない。
夕方になるまえに、密告DVDは完成した。
二枚焼いてもらって、あたしは禅君のアジトをいったんでた。
コンビニで白手袋と封筒と切手を買ってもどる。
手袋をしたまま池袋署の住所を書き、DVDと何枚かのプリントアウトをいれた。
なかの一枚はホテル街にとまるラワディの白いエスティマ。
すべての作業を終えると、あたしは西武池袋線の途中で目についた郵便ポストに速達の封筒をおとした。
これからはもう時間がない。
数日中にでも生活安全課は動く。
ガタさんによるとホテトルやデリヘルの潜入捜査は、労あって益なしだという。
捜査は面倒だし、刑罰は軽い。
だけど、無届けで未成年を働かせているとなると事件性もニュースバリューも大きいし、肝心の捜査にもあのDVDという強力な援軍がある。
ワイルドナイトは近いうちに壊滅的な打撃を受けるはず。
問題は元民主化の闘志にして、今は少年売春のピンハネ屋ガロン・ラワディをどうするか……
あたしは駅のホームで携帯を開いた。タカシの番号は見なくても押せる。
とりつぎがキングに代わると、あたしはいった。
「まだ、あのメルセデスのRVはあるかな」
タカシは不思議そうだった。
『あるが、それがどうした』
「タカシに見てもらいたいDVDがあるの。あの車にはまだDVDデッキとモニタがのってるよね」
タカシはめずらしく含み笑いをしていった。
『お前のまわりっていつもなにか起きてて、Sウルフの集会なんかよりよほど楽しそうだな。俺もたまには果物屋の店番でもやってみるかな』
イケメンのタカシがうちの店に立ったところを想像した。
やつのキスマークつきのオレンジならひとつ三千円で売れるかもしれない。
池袋中の若い女たちが集まってくることだろう。
レンジローバーで市場に買い出しにいくスーツを着たあたしを考えた。
目を覚ませ、リッカ。
そういうと禅君は舌なめずりをするようにキーボードをたたいた。
液晶画面のしたに声の波形がギザギザにあらわれて、モニタわきのスピーカーから流れるあたしの声と同調した。
『きみの名前と年齢、それに住所は』
禅君は右側だけ何度も髪をかきあげた。
「これを…別な…音声の…サンプ…リング…データ…に…変換…しますと…」
やつはマウスを動かし、左クリックでなにか選択した。
今度はどこか間延びした女の子の声が流れ出す。
『きみーなまえーとねんれい、それにじゅーしょはー』
「わかり…ますか…リッカ…さん」
どこかで聞いたことあるような無いような…。
はっきりとはわからなかった。
禅君は残念そうにいった。
「これは…初音ミク…から…サンプリング…した…声…なん…ですが…わかり…ません…でしたか」
趣味と仕事が密接に関連した禅君みたいな人は、不景気の日本でもまったくしあわせものかもしれない。
夕方になるまえに、密告DVDは完成した。
二枚焼いてもらって、あたしは禅君のアジトをいったんでた。
コンビニで白手袋と封筒と切手を買ってもどる。
手袋をしたまま池袋署の住所を書き、DVDと何枚かのプリントアウトをいれた。
なかの一枚はホテル街にとまるラワディの白いエスティマ。
すべての作業を終えると、あたしは西武池袋線の途中で目についた郵便ポストに速達の封筒をおとした。
これからはもう時間がない。
数日中にでも生活安全課は動く。
ガタさんによるとホテトルやデリヘルの潜入捜査は、労あって益なしだという。
捜査は面倒だし、刑罰は軽い。
だけど、無届けで未成年を働かせているとなると事件性もニュースバリューも大きいし、肝心の捜査にもあのDVDという強力な援軍がある。
ワイルドナイトは近いうちに壊滅的な打撃を受けるはず。
問題は元民主化の闘志にして、今は少年売春のピンハネ屋ガロン・ラワディをどうするか……
あたしは駅のホームで携帯を開いた。タカシの番号は見なくても押せる。
とりつぎがキングに代わると、あたしはいった。
「まだ、あのメルセデスのRVはあるかな」
タカシは不思議そうだった。
『あるが、それがどうした』
「タカシに見てもらいたいDVDがあるの。あの車にはまだDVDデッキとモニタがのってるよね」
タカシはめずらしく含み笑いをしていった。
『お前のまわりっていつもなにか起きてて、Sウルフの集会なんかよりよほど楽しそうだな。俺もたまには果物屋の店番でもやってみるかな』
イケメンのタカシがうちの店に立ったところを想像した。
やつのキスマークつきのオレンジならひとつ三千円で売れるかもしれない。
池袋中の若い女たちが集まってくることだろう。
レンジローバーで市場に買い出しにいくスーツを着たあたしを考えた。
目を覚ませ、リッカ。