ー特別編ーブラックアウトの夜
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「きみの名前と年齢、それに住所は」
サヤーはひとつずつ丁寧に答えた。
その調子とエールを送るつもりでうなずいてあげる。
「きみが働いている無認可のデリバリーへルス店の名前は。そこにはきみのような未成年の従業員がいるそうだけど、ほんとうかな。」
サヤーは涙で濡れた目でうなずき、ワイルドナイトの名前と事務所のあるマンションの住所を、ハッキリとした声でいった。
ひととおりの証言をビデオに収録し終えると、サヤーがソファを立った。
木製のパネルでとざされた窓にむかう。
壁と同じピンクの格子の壁紙が貼られたパネルをあけ、アルミサッシの窓を五センチほどひいた。
窓のすきまからぬるい外気が流れ込んでくる。
「リッカさん、ちょっときて」
あたしは録画をとめて、窓辺に移動した。
灰色のホテル街と、黒々とした路上がみえる。
サヤーはホテルのまえに駐車しているパールホワイトのトヨタ・エスティマを指差した。
「あれがガロンの車なんだ」
あたしは慌てて三脚からビデオカメラをはずし、エスティマを撮った。
二十倍のデジタルズームはナンバープレートに飛んだ泥の飛沫さえ鮮やかに映し出した。
あたしは録画しながらサヤーにいった。
「車は事務所のものじゃないの?」
「うん、あれはガロンのもちものだよ。事務所からでるのはガソリン代こみで一日一万五千円の日当なんだ」
とするとガロン・ラワディはフリーの運転手ということになる。
もぐりのデリヘルの経営者はともかく、ラワディの罪は軽そうだった。
警察からすぐ池袋の街にもどってくる。
なんとかして、やつに深い釘を刺す方法を考えなきゃいけない。
二度とサヤーやサヤーのおやじさんにかかわる気をなくさせるほど、きついお仕置き。
S・ウルフの手を借りればできないことはないけど、暴力があまり好きじゃないあたしにとれる方法はなんだろうか。
ホテル街を見下ろして、あたしはぼんやりと心を冷やしていた。
サヤーを先に部屋から帰して、あたしは窓のすきまからエスティマを録り続けた。
小柄な少年が助手席にのりこみ、ガロンが車をだし曲がり角を消えていくまで録画する。
あたしは二時間の休憩時間ギリギリにホテルをでて、携帯を抜いた。
耳元で眠そうな禅君の声がした。
「どう…も…リッカ…さん。」
あたしは昼夜ぶっとうし生活を送るデシタルの賢者を心配しつつ仕事の話をした。
「禅君に編集を頼みたいビデオがあるの。これからそっちにいっていい?」
「今日は…あがろうと…思って…たん…ですが……来るなと…行っても…来ます…よね。」
「うん。禅君が頼りなの。」
「わかり…まし…た。じゃあ……コンビニで…なにか…甘いものを…買って…来て…くだ…さい。」
あたしはありがとといってコンビニ経由でいつものファミレスに向かった。
サヤーはひとつずつ丁寧に答えた。
その調子とエールを送るつもりでうなずいてあげる。
「きみが働いている無認可のデリバリーへルス店の名前は。そこにはきみのような未成年の従業員がいるそうだけど、ほんとうかな。」
サヤーは涙で濡れた目でうなずき、ワイルドナイトの名前と事務所のあるマンションの住所を、ハッキリとした声でいった。
ひととおりの証言をビデオに収録し終えると、サヤーがソファを立った。
木製のパネルでとざされた窓にむかう。
壁と同じピンクの格子の壁紙が貼られたパネルをあけ、アルミサッシの窓を五センチほどひいた。
窓のすきまからぬるい外気が流れ込んでくる。
「リッカさん、ちょっときて」
あたしは録画をとめて、窓辺に移動した。
灰色のホテル街と、黒々とした路上がみえる。
サヤーはホテルのまえに駐車しているパールホワイトのトヨタ・エスティマを指差した。
「あれがガロンの車なんだ」
あたしは慌てて三脚からビデオカメラをはずし、エスティマを撮った。
二十倍のデジタルズームはナンバープレートに飛んだ泥の飛沫さえ鮮やかに映し出した。
あたしは録画しながらサヤーにいった。
「車は事務所のものじゃないの?」
「うん、あれはガロンのもちものだよ。事務所からでるのはガソリン代こみで一日一万五千円の日当なんだ」
とするとガロン・ラワディはフリーの運転手ということになる。
もぐりのデリヘルの経営者はともかく、ラワディの罪は軽そうだった。
警察からすぐ池袋の街にもどってくる。
なんとかして、やつに深い釘を刺す方法を考えなきゃいけない。
二度とサヤーやサヤーのおやじさんにかかわる気をなくさせるほど、きついお仕置き。
S・ウルフの手を借りればできないことはないけど、暴力があまり好きじゃないあたしにとれる方法はなんだろうか。
ホテル街を見下ろして、あたしはぼんやりと心を冷やしていた。
サヤーを先に部屋から帰して、あたしは窓のすきまからエスティマを録り続けた。
小柄な少年が助手席にのりこみ、ガロンが車をだし曲がり角を消えていくまで録画する。
あたしは二時間の休憩時間ギリギリにホテルをでて、携帯を抜いた。
耳元で眠そうな禅君の声がした。
「どう…も…リッカ…さん。」
あたしは昼夜ぶっとうし生活を送るデシタルの賢者を心配しつつ仕事の話をした。
「禅君に編集を頼みたいビデオがあるの。これからそっちにいっていい?」
「今日は…あがろうと…思って…たん…ですが……来るなと…行っても…来ます…よね。」
「うん。禅君が頼りなの。」
「わかり…まし…た。じゃあ……コンビニで…なにか…甘いものを…買って…来て…くだ…さい。」
あたしはありがとといってコンビニ経由でいつものファミレスに向かった。