格安恋旅行
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飯を食ったあとは、談笑しながらの名所巡り。
まゆが金色夜叉のあの像をみたいという事で…お宮の松へ行ったりした。金色夜叉の内容は簡単に説明すると、貫一のいいなずけだったお宮は、金に目がくらんだ両親によって、富豪の富山という人のところへ嫁がされる。それに激怒した貫一。お宮を下駄で蹴り飛ばします。
その一シーンを模した像のことだ。
まゆは確りと碑石に刻まれた説明に目を通している。なんとなく、その姿が気にいったのでおれは尻のポケットから携帯を抜いて、カメラで撮った。普通の写真なんてこれが初めてかもしれない。
携帯越しに彼女の横顔を眺めてると、急にまゆはクルリっと、こっちに向きかえると微笑んだ。薄桃色の頬に小さな笑窪ができている。
目があって固まること、数十秒。笑顔の彼女は急に口をとがらせた。
「せっかく、笑顔をつくったのに撮ってくれないのかい?」
「あ、あー……悪い。見惚れてたわ」
「それって、本気?それともいつもの冗談?」
「さぁ……どっちかな。好きな方に取ってくれていいぞ」
べーっと舌を出すおれ。対抗するように、まゆは頬を膨らませる。
「キミは本当に素直じゃないね」
「素直な方さ。昔に比べたらな」
「それはそうかもね。」
まゆは肩をオーバーリアクションに竦めた。今のさっきのおれの真似をしたらしい。なんか小憎たらしいような、可愛いような行動に頭でも撫でてやろうと手を伸ばしたがスッと避けられる。タンタンっと最小限の動きと足さばきでおれの懐に潜り込んできた。虚を突かれたとはいえ、見事な歩法だ。考えてみれば現役は離れてもコイツは武神と謳われた羅漢の娘なのだ。このくらいは朝飯前だろう。
ワンテンポ開いて、ポフンと胸にうずまる彼女。何だろう……いきなり零距離正拳でも叩きこまれるのだろうか。馬鹿なことを考えてると胸元では小動物のようにまゆはこっちを見上げていた。
「僕は昔の悠も、今の悠も大好きだけどね」
突然の告白。いや、告白といっても前からされていたんだけど。今改めてされた理由がよくわからず、脊髄反射的にいった。
「なんだ、急に?」
深いため息を吐くまゆ。
「キミってそういう所は本当に成長しないね。」
「先生。どーいうところか解らないのに成長もないと思います。」
ドッと決して軽くは無い痛みが鳩尾にはしった。さっき食べたモノがせり上がって来たが、奥歯を噛みしめて最悪の事態は回避した。
「おうっ……ま、まゆさん。いきなり本当に何スか……いや、マジでさっきから何なんスかっ…。」
「余りにも鈍いから叩いて軟らかくしようかと思ってね。」
「おれは牛肉か何かじゃないぞ……。それにいったいおれはいつまで鈍い鈍いといわれ続けられるんだ?」
「一生じゃないかな」
「はは、なら、安心だな。」
まゆは小首を傾げていった。
「なにが安心なんだい?」
「そりゃ……一生鈍いっていい続けてくれる訳だろ?」
見上げていたまゆの顔が見る見る赤くなっていった。うずめようと顔をさげようとしたので高揚した頬を両手の指でつまんでやった。もち肌というかなんともいい弾力。むーっと唸っているのも可愛かった。
「離したまへっ」
「もーちょっと、このさわり心地楽しませろよ。」
引っ張って、押して、上げて、下げて縦横無尽にコネリ回すのを堪能して、手を離した。理由はまゆの目が三角になりかかっていたからだ。怒られる前に止めておいた。
「まったく、腫れちゃったらどうする気だい。」
「悪かったって。これやるから機嫌直してくれ」
まゆの手に小箱を握らせた。
「なにこれ?」
「婚約指輪。ほら、買ってなかっただろ」
「…………え?今、渡す?」
「エッチの最中に渡すよりかはいいと思って」
「キミは……キミは本当に…馬鹿だね。」
そういった、まゆの顔は何だか表現しにくい表情だった。とりあえず嬉し泣きという事にして、抱きしめてみた。おれが鈍いとか鋭いとかは今でも解らない。だけどひとつだけ、今改めて分かった事がある。自由気ままなひとり旅もいいが、こうして好きな奴と行く旅行も悪くないって事。もちろん口に出したりはしないけどな……。
END
まゆが金色夜叉のあの像をみたいという事で…お宮の松へ行ったりした。金色夜叉の内容は簡単に説明すると、貫一のいいなずけだったお宮は、金に目がくらんだ両親によって、富豪の富山という人のところへ嫁がされる。それに激怒した貫一。お宮を下駄で蹴り飛ばします。
その一シーンを模した像のことだ。
まゆは確りと碑石に刻まれた説明に目を通している。なんとなく、その姿が気にいったのでおれは尻のポケットから携帯を抜いて、カメラで撮った。普通の写真なんてこれが初めてかもしれない。
携帯越しに彼女の横顔を眺めてると、急にまゆはクルリっと、こっちに向きかえると微笑んだ。薄桃色の頬に小さな笑窪ができている。
目があって固まること、数十秒。笑顔の彼女は急に口をとがらせた。
「せっかく、笑顔をつくったのに撮ってくれないのかい?」
「あ、あー……悪い。見惚れてたわ」
「それって、本気?それともいつもの冗談?」
「さぁ……どっちかな。好きな方に取ってくれていいぞ」
べーっと舌を出すおれ。対抗するように、まゆは頬を膨らませる。
「キミは本当に素直じゃないね」
「素直な方さ。昔に比べたらな」
「それはそうかもね。」
まゆは肩をオーバーリアクションに竦めた。今のさっきのおれの真似をしたらしい。なんか小憎たらしいような、可愛いような行動に頭でも撫でてやろうと手を伸ばしたがスッと避けられる。タンタンっと最小限の動きと足さばきでおれの懐に潜り込んできた。虚を突かれたとはいえ、見事な歩法だ。考えてみれば現役は離れてもコイツは武神と謳われた羅漢の娘なのだ。このくらいは朝飯前だろう。
ワンテンポ開いて、ポフンと胸にうずまる彼女。何だろう……いきなり零距離正拳でも叩きこまれるのだろうか。馬鹿なことを考えてると胸元では小動物のようにまゆはこっちを見上げていた。
「僕は昔の悠も、今の悠も大好きだけどね」
突然の告白。いや、告白といっても前からされていたんだけど。今改めてされた理由がよくわからず、脊髄反射的にいった。
「なんだ、急に?」
深いため息を吐くまゆ。
「キミってそういう所は本当に成長しないね。」
「先生。どーいうところか解らないのに成長もないと思います。」
ドッと決して軽くは無い痛みが鳩尾にはしった。さっき食べたモノがせり上がって来たが、奥歯を噛みしめて最悪の事態は回避した。
「おうっ……ま、まゆさん。いきなり本当に何スか……いや、マジでさっきから何なんスかっ…。」
「余りにも鈍いから叩いて軟らかくしようかと思ってね。」
「おれは牛肉か何かじゃないぞ……。それにいったいおれはいつまで鈍い鈍いといわれ続けられるんだ?」
「一生じゃないかな」
「はは、なら、安心だな。」
まゆは小首を傾げていった。
「なにが安心なんだい?」
「そりゃ……一生鈍いっていい続けてくれる訳だろ?」
見上げていたまゆの顔が見る見る赤くなっていった。うずめようと顔をさげようとしたので高揚した頬を両手の指でつまんでやった。もち肌というかなんともいい弾力。むーっと唸っているのも可愛かった。
「離したまへっ」
「もーちょっと、このさわり心地楽しませろよ。」
引っ張って、押して、上げて、下げて縦横無尽にコネリ回すのを堪能して、手を離した。理由はまゆの目が三角になりかかっていたからだ。怒られる前に止めておいた。
「まったく、腫れちゃったらどうする気だい。」
「悪かったって。これやるから機嫌直してくれ」
まゆの手に小箱を握らせた。
「なにこれ?」
「婚約指輪。ほら、買ってなかっただろ」
「…………え?今、渡す?」
「エッチの最中に渡すよりかはいいと思って」
「キミは……キミは本当に…馬鹿だね。」
そういった、まゆの顔は何だか表現しにくい表情だった。とりあえず嬉し泣きという事にして、抱きしめてみた。おれが鈍いとか鋭いとかは今でも解らない。だけどひとつだけ、今改めて分かった事がある。自由気ままなひとり旅もいいが、こうして好きな奴と行く旅行も悪くないって事。もちろん口に出したりはしないけどな……。
END