雨ノ空
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男らしい大きな手だ。
けど、その手からは想像出来ないくらい優しく繊細に髪に指を通して撫でてくれる。
気持ちいい。
私はもう一度いった。
「ね、慰めてよ」
「もうやってるだろ。」
私は両手で悠の頬を挟んだ。
そして指先で垂れ下がって顔を隠している髪を左右に分けた。
いつ以来か滅多に見なくなってしまった青と金のオッドアイに不機嫌な表情が現れる。
「おぃ、前髪に触るな。閉じろ。」
「昔はこんな不気味な髪型じゃなかったのにね。どうしてこーなったのかしら。」
悠の顔はさらに険しくなっていった。
「うるさいな…。お前は俺の親か、いいから手を退けろって…。」
「慰めて。」
「しつこいなぁ…。あんまり方法知らないんだけど」
「知ってるのでいいから。」
悠はほんの…ほんとうに少しだけ、微笑んだ。
そうして、私の事をギュッと抱き締めた。
悠の胸板にうずくまって、たくましい腕に包まれる。
そのまま、私は何を考えていたか……とても陳腐なこと。
悠はいった。
「……なんで笑ってる?」
「方法知らないって嘘ね。」
「そうでもないさ、ただ案外俺の胸は人気でな。ともきも一回慰めたかな。」
「あはは、アンタら男同士でなにやってんのよ。あーぁ、どうしてかな…」
「なにが?」
「陳腐なことなんだけどね。悠のこと好きになればよかった…って、思っちゃった。」
「そうかなぁ」
どうでも良いよと言いたげな返事をする悠。私は胸から身をよじって顔をつき合わせる。
「今度はなんだ?」
「もうちょっと…慰めて欲しい。」
悠の頭に手を回してグッと引き寄せた。
チュッと私の唇は……人差し指に重なった。
悠はそのまま指に力を込めて私の顔から距離を空ける。
「むっ…ぷはっ…なんで」
「雨。」
「え?」
「雨はやんだぞ。」
言われて見れば雨の音がしていない、出入り口からは日の光が射している。
「さ、雨は止んだんだ。帰るぞ」
悠は私を開放して、中腰になって手を伸ばしてきた。
それを握り返して私も外に出る。
さっきまでの雨が嘘のように晴天で夏の空になっている。
ぼんやりと天をあおっていると悠がいった。
「千草。俺じゃなくてよかっただろ。」
私は視線を下げると、亮が遠くから走ってくるのが目にはいった。
いつものツンツン髪が倒れるほどビシャビシャだ。
そうねっと、言おうと振り返ったときに悠は居なくなくっていた。
私は首を左右に振って、亮の元へ歩き始める。
悠も私も成長して、大人になっていく。
それでも、この思いでは永遠。
少しだけ、悠に引かれたことも永遠に秘密のままにね。
END
けど、その手からは想像出来ないくらい優しく繊細に髪に指を通して撫でてくれる。
気持ちいい。
私はもう一度いった。
「ね、慰めてよ」
「もうやってるだろ。」
私は両手で悠の頬を挟んだ。
そして指先で垂れ下がって顔を隠している髪を左右に分けた。
いつ以来か滅多に見なくなってしまった青と金のオッドアイに不機嫌な表情が現れる。
「おぃ、前髪に触るな。閉じろ。」
「昔はこんな不気味な髪型じゃなかったのにね。どうしてこーなったのかしら。」
悠の顔はさらに険しくなっていった。
「うるさいな…。お前は俺の親か、いいから手を退けろって…。」
「慰めて。」
「しつこいなぁ…。あんまり方法知らないんだけど」
「知ってるのでいいから。」
悠はほんの…ほんとうに少しだけ、微笑んだ。
そうして、私の事をギュッと抱き締めた。
悠の胸板にうずくまって、たくましい腕に包まれる。
そのまま、私は何を考えていたか……とても陳腐なこと。
悠はいった。
「……なんで笑ってる?」
「方法知らないって嘘ね。」
「そうでもないさ、ただ案外俺の胸は人気でな。ともきも一回慰めたかな。」
「あはは、アンタら男同士でなにやってんのよ。あーぁ、どうしてかな…」
「なにが?」
「陳腐なことなんだけどね。悠のこと好きになればよかった…って、思っちゃった。」
「そうかなぁ」
どうでも良いよと言いたげな返事をする悠。私は胸から身をよじって顔をつき合わせる。
「今度はなんだ?」
「もうちょっと…慰めて欲しい。」
悠の頭に手を回してグッと引き寄せた。
チュッと私の唇は……人差し指に重なった。
悠はそのまま指に力を込めて私の顔から距離を空ける。
「むっ…ぷはっ…なんで」
「雨。」
「え?」
「雨はやんだぞ。」
言われて見れば雨の音がしていない、出入り口からは日の光が射している。
「さ、雨は止んだんだ。帰るぞ」
悠は私を開放して、中腰になって手を伸ばしてきた。
それを握り返して私も外に出る。
さっきまでの雨が嘘のように晴天で夏の空になっている。
ぼんやりと天をあおっていると悠がいった。
「千草。俺じゃなくてよかっただろ。」
私は視線を下げると、亮が遠くから走ってくるのが目にはいった。
いつものツンツン髪が倒れるほどビシャビシャだ。
そうねっと、言おうと振り返ったときに悠は居なくなくっていた。
私は首を左右に振って、亮の元へ歩き始める。
悠も私も成長して、大人になっていく。
それでも、この思いでは永遠。
少しだけ、悠に引かれたことも永遠に秘密のままにね。
END