雨ノ空
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三度目のケラケラ笑いを聞きながら私はバカにいった。
「こんな時にセクハラ?アンタは…ほんっとうにバカよね。」
「こんな時だからしてるんだよ。普段だと亮に怒られちゃうだろ?」
雨の水が中に大分入ってきて、悠は私の真横ピッタリに座り直した。
さっきより密着したせいか、シットリと濡れた髪からは柑橘系の香りがする。
たぶん、クッチー(梔)特製のシャンプーのおかげだろう。ムカつくくらいに髪に艶がある。
悠肩に流れる髪の先から視線を徐々にあげていき横顔を見ていった。
「アンタは変わったわよね。昔は素直…ううん、人を疑うって事を知らないくらい純粋だった。」
悠はいった。
「今でも俺は純粋だよ。ただ……変わったのはそうかもな。アレから十数年だぞ?」
確かに年月的な意味だったら十年以上とは膨大な時間だった。
人が変わるのに、何もおかしくないほどの時間。
「そうじゃないわよ。確かに性格は変わっちゃたし、身体も大きくなった…」
いつのまにか身長なんか抜かれちゃったし、華奢だった身体も今じゃ筋肉に覆われてる。
童顔だった顔は…まだ、童顔っぽいけど全然大人びた表情になっている。
私が成長するのとコイツが成長する時間は同じなのに……なんで、こんなに変わってしまえたんだろう。
私はそっと悠の頬に触れた。
そして、親指と人差し指で挟んでギュッと捻る。
「いひゃいんひゃけど(痛いだけど)」
「どうしてこーんなに性格が悪くなったのかしらねー。昔のままなら……」
素敵だったのに…。
口の中で呟いて私はつねった指を外して、悠の肩に身体を預けた。
もたれ掛かってもびくともしない大きな肩。
「なんのつもりだ?」
「……」
私は黙って少しの間、雨の音とコイツからか聞こえてくる心音に集中した。
ザーザー、トクントクンと重なる音色に、不思議と安心できた。
一分、二分、三分と経って悠はしびれを切らしたようにいった。
「……なぁ、いつまでそうしてる気だよ。っか、もう元気出たんならさっさと帰ろうぜ。」
私を肩から押し退けようとしたそのときにいった。
「ねっ、慰めてよ。」
「は?」
今日初めて、コイツの表情が驚きに変わった。
私は首を傾けて、まん前に悠の顔を見ていった。
「あの時は私が泣き止むまでずっと手を握っててくれたじゃない。」
「ガキの頃の話だろ。それに今のお前は泣いてない。」
悠はペシッと私のオデコを指で弾いた。
痛くはない、ただ子供がイタズラにするようなデコピン…それでも、私は退かなかった。
「泣いてないけど、雨はまだ降ってるわよ?あの時は止むまでは居てくれたじゃない」
「あのなぁ…。」
悠はフゥーッと口から息を吐いた。
呆れたけど、折れたため息だ。
雨がやむまでだぞっと、口のなかでいって、まるで子供をあやすように私の頭を撫でてくる。
「こんな時にセクハラ?アンタは…ほんっとうにバカよね。」
「こんな時だからしてるんだよ。普段だと亮に怒られちゃうだろ?」
雨の水が中に大分入ってきて、悠は私の真横ピッタリに座り直した。
さっきより密着したせいか、シットリと濡れた髪からは柑橘系の香りがする。
たぶん、クッチー(梔)特製のシャンプーのおかげだろう。ムカつくくらいに髪に艶がある。
悠肩に流れる髪の先から視線を徐々にあげていき横顔を見ていった。
「アンタは変わったわよね。昔は素直…ううん、人を疑うって事を知らないくらい純粋だった。」
悠はいった。
「今でも俺は純粋だよ。ただ……変わったのはそうかもな。アレから十数年だぞ?」
確かに年月的な意味だったら十年以上とは膨大な時間だった。
人が変わるのに、何もおかしくないほどの時間。
「そうじゃないわよ。確かに性格は変わっちゃたし、身体も大きくなった…」
いつのまにか身長なんか抜かれちゃったし、華奢だった身体も今じゃ筋肉に覆われてる。
童顔だった顔は…まだ、童顔っぽいけど全然大人びた表情になっている。
私が成長するのとコイツが成長する時間は同じなのに……なんで、こんなに変わってしまえたんだろう。
私はそっと悠の頬に触れた。
そして、親指と人差し指で挟んでギュッと捻る。
「いひゃいんひゃけど(痛いだけど)」
「どうしてこーんなに性格が悪くなったのかしらねー。昔のままなら……」
素敵だったのに…。
口の中で呟いて私はつねった指を外して、悠の肩に身体を預けた。
もたれ掛かってもびくともしない大きな肩。
「なんのつもりだ?」
「……」
私は黙って少しの間、雨の音とコイツからか聞こえてくる心音に集中した。
ザーザー、トクントクンと重なる音色に、不思議と安心できた。
一分、二分、三分と経って悠はしびれを切らしたようにいった。
「……なぁ、いつまでそうしてる気だよ。っか、もう元気出たんならさっさと帰ろうぜ。」
私を肩から押し退けようとしたそのときにいった。
「ねっ、慰めてよ。」
「は?」
今日初めて、コイツの表情が驚きに変わった。
私は首を傾けて、まん前に悠の顔を見ていった。
「あの時は私が泣き止むまでずっと手を握っててくれたじゃない。」
「ガキの頃の話だろ。それに今のお前は泣いてない。」
悠はペシッと私のオデコを指で弾いた。
痛くはない、ただ子供がイタズラにするようなデコピン…それでも、私は退かなかった。
「泣いてないけど、雨はまだ降ってるわよ?あの時は止むまでは居てくれたじゃない」
「あのなぁ…。」
悠はフゥーッと口から息を吐いた。
呆れたけど、折れたため息だ。
雨がやむまでだぞっと、口のなかでいって、まるで子供をあやすように私の頭を撫でてくる。