雨ノ空
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家の近くに公園がある。
広くはないけど、遊具なんかもあって、散歩がてらの休憩や幼児の遊び場としてよく利用されている。
そこにドーム型の山みたいなオブジェとも遊具とも呼べない設置物。
私が物心ついたときには銀色だったそれは今では塗装がはげてどこかみすぼらしい姿になっている。
けれど、昔から嫌なことがあるといつもその中にいた。
嫌なことなんて、言い方は大袈裟すぎる。
本当に小さな事だ。
先生に怒られた。
親に怒られた。
友達と喧嘩した。
テストの成績が奮わなかった。
好きなお菓子が売っていなかった。
見たかったテレビ番組が延期になった。
小さかった頃のこと。
今ではどれもこれも自分の中でどうにか解決できたりするし、ひとりでこんなところで塞ぎ込む事はない。
どのくらい、時間がたっただろうか。
さっきまで曇りだった空がいつのまにか雨になっていた。
最悪。今の私の気分と同じだ。
しかも、傘も持っていない。膝を抱えて出入り口からシャワーのように激しい雨を睨んでいると、こっちに近づいてくる人影があるのに気がついた。
この雨のなかを傘もささないで歩いてるなんてバカな奴は中に入ってきていった。
「よぅ。こんな場所でかくれんぼか?」
私はソイツを、小鳥遊悠を観察した。
無駄に長すぎる髪は垂れ下がって毛先からボタボタと水の玉が滴り落ちていき、Tシャツの肩と首もとを濡らしていた。
いつもの軍パンに足元のサンダルはすでにスブズブだ。
「なんかよう?」
私と並ぶように座り込んだ。
狭いので奴が入ってきただけでいっきに温度があがって蒸し暑くなる。
「いんや、散歩の途中ですよ。ただ、どっかの誰かさんが誰かさんと喧嘩して、誰かさんが見つからないから、誰かさんに誰かさんを探してくれといわれたのもある。」
「誰か、誰か、誰かって誰よ。ワケわかんない。」
私はそっぽを向いた。
その訳のわからないしゃべり方に腹がたつ。
私の怒りがわかってるのに、悠はカラカラと笑った。
コイツは人を食ったように性格が悪い。
「笑うな!」
「こんな狭い場所で、そう怒りなさんな。」
「誰のせいよ。」
私が吐き捨てるように言うと、悠は顎に手をあてるわざとらいアクションをとって考えた素振りをする。
顔は見えなくてもコイツがニマニマと笑ってるのが判るのがさらに腹立たしい。
悠はいった。
「うーん……。誰のせいと問われたのならば、ご自分のせいではございませんか?なにが理由で喧嘩したのかはしらないけど、嫌な気分になってここに来たのはいいけど、それが余計に自分を苛立たせる的な怒りが七割、亮に対して二割、んで残り一割が俺にかな。」
悠は私の方を見ずに、淡々といった。
雨脚が激しくなっていき、ザーザーとうるさいくらいなのにコイツの声だけは妙にハッキリと聞こえた。
広くはないけど、遊具なんかもあって、散歩がてらの休憩や幼児の遊び場としてよく利用されている。
そこにドーム型の山みたいなオブジェとも遊具とも呼べない設置物。
私が物心ついたときには銀色だったそれは今では塗装がはげてどこかみすぼらしい姿になっている。
けれど、昔から嫌なことがあるといつもその中にいた。
嫌なことなんて、言い方は大袈裟すぎる。
本当に小さな事だ。
先生に怒られた。
親に怒られた。
友達と喧嘩した。
テストの成績が奮わなかった。
好きなお菓子が売っていなかった。
見たかったテレビ番組が延期になった。
小さかった頃のこと。
今ではどれもこれも自分の中でどうにか解決できたりするし、ひとりでこんなところで塞ぎ込む事はない。
どのくらい、時間がたっただろうか。
さっきまで曇りだった空がいつのまにか雨になっていた。
最悪。今の私の気分と同じだ。
しかも、傘も持っていない。膝を抱えて出入り口からシャワーのように激しい雨を睨んでいると、こっちに近づいてくる人影があるのに気がついた。
この雨のなかを傘もささないで歩いてるなんてバカな奴は中に入ってきていった。
「よぅ。こんな場所でかくれんぼか?」
私はソイツを、小鳥遊悠を観察した。
無駄に長すぎる髪は垂れ下がって毛先からボタボタと水の玉が滴り落ちていき、Tシャツの肩と首もとを濡らしていた。
いつもの軍パンに足元のサンダルはすでにスブズブだ。
「なんかよう?」
私と並ぶように座り込んだ。
狭いので奴が入ってきただけでいっきに温度があがって蒸し暑くなる。
「いんや、散歩の途中ですよ。ただ、どっかの誰かさんが誰かさんと喧嘩して、誰かさんが見つからないから、誰かさんに誰かさんを探してくれといわれたのもある。」
「誰か、誰か、誰かって誰よ。ワケわかんない。」
私はそっぽを向いた。
その訳のわからないしゃべり方に腹がたつ。
私の怒りがわかってるのに、悠はカラカラと笑った。
コイツは人を食ったように性格が悪い。
「笑うな!」
「こんな狭い場所で、そう怒りなさんな。」
「誰のせいよ。」
私が吐き捨てるように言うと、悠は顎に手をあてるわざとらいアクションをとって考えた素振りをする。
顔は見えなくてもコイツがニマニマと笑ってるのが判るのがさらに腹立たしい。
悠はいった。
「うーん……。誰のせいと問われたのならば、ご自分のせいではございませんか?なにが理由で喧嘩したのかはしらないけど、嫌な気分になってここに来たのはいいけど、それが余計に自分を苛立たせる的な怒りが七割、亮に対して二割、んで残り一割が俺にかな。」
悠は私の方を見ずに、淡々といった。
雨脚が激しくなっていき、ザーザーとうるさいくらいなのにコイツの声だけは妙にハッキリと聞こえた。