湯けむり録
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池袋の街はもうクリスマス一色。
マルイの正面エントランスには格納車の扉くらいある真っ赤な看板がふたつならび、きらきらと照明を反射していた。
いくら不景気だとはいえ、この時期に酒を飲まないサラリーマンはいないし、Hをしないカップルだっていない。
その人混みの中にHしないカップルの俺らもいるわけだけどな。
表通りの巡回コースが終わって、西口駅の商店街に差し掛かったとき、優日が俺の肩を叩いていった。
「ね、悠。アレって拳二さんじゃない?」
横断歩道の向こう側に見えるブルゾンのロングコートを着てもパンパンにふくれて隠しきれないあのガタイは紛れもなくゴリラ、もとい拳二だ。
こっちに気がついたらしく手をあげた。
俺は同じように手をあげて、信号が変わっても渡らずに拳二が来るのを待った。
「よう。偶然だな。」
「おう。年明け前に会うのはこれが最後になるな。仕事か?」
拳二は山のような肩をふたつ浮かした。
「集金だ。下にやらせりゃいいんだが、たまには俺が出張らないといけないからな。そんなことより、二人はデートか?」
俺は優日をみていった。
「デートかな?」
「デートだよ?」
「なんでお前ら二人して疑問系なんだよ」
そういわれても仕方なかった。なにせ、俺はいつもの軽い散歩のつもりで出てきて、優日はそれに着いてきただけなんだから。
「ま、お前らみたいなカップルの考えは俺にはわからんか。そうだ。優日ちゃんこれやるよ。俺からの早いクリスマスプレゼントだ」
拳二は懐からゴツイワニ革の財布を出した。
俺の見立てでは十万はすると思う。
万札でも出すのかと思ったら優日に手渡したのは回数券みたいな物。
俺はいった。
「プレゼントって福引券かよ。」
「これってそこの商店街のやつですよね。悠、ちょっとやって来るね。」
拳二に頭をさげて、優日が商店街の方へ歩いていくのを見送りながら俺はいった。
「なにがクリスマスプレゼントだか…あれじゃティッシュにしかならないだろ。」
「バカ。もしかしたらいいものに変わるかもしれねぇだろ。」
「結局、運任せじゃん」
「かっかっか。さて、俺は行くわ。悠、よいお年を、優日ちゃんと仲良くしろよコノヤロウ」
「おう、そっちもな。っか、年明け前に死ぬなよ。」
拳二は背中越しにバーカといって、街の人混みに飲み込まれた。
なんでかこんな風に悪態をつき合ったあとは少しだけアイツと昔話でもしながら呑みたくなる。
俺がおセンチになって排ガスに汚れた空を見上げてると突然背中になにかが飛び付いてきた。
前倒れになりそうなのを必死に踏ん張って叫んだ。
「なんだ?!」
「悠!悠!やったよ!すごいのが当たったよ!」
背中から返ってきた優日の声は普段の三倍はテンションが高かった。
マルイの正面エントランスには格納車の扉くらいある真っ赤な看板がふたつならび、きらきらと照明を反射していた。
いくら不景気だとはいえ、この時期に酒を飲まないサラリーマンはいないし、Hをしないカップルだっていない。
その人混みの中にHしないカップルの俺らもいるわけだけどな。
表通りの巡回コースが終わって、西口駅の商店街に差し掛かったとき、優日が俺の肩を叩いていった。
「ね、悠。アレって拳二さんじゃない?」
横断歩道の向こう側に見えるブルゾンのロングコートを着てもパンパンにふくれて隠しきれないあのガタイは紛れもなくゴリラ、もとい拳二だ。
こっちに気がついたらしく手をあげた。
俺は同じように手をあげて、信号が変わっても渡らずに拳二が来るのを待った。
「よう。偶然だな。」
「おう。年明け前に会うのはこれが最後になるな。仕事か?」
拳二は山のような肩をふたつ浮かした。
「集金だ。下にやらせりゃいいんだが、たまには俺が出張らないといけないからな。そんなことより、二人はデートか?」
俺は優日をみていった。
「デートかな?」
「デートだよ?」
「なんでお前ら二人して疑問系なんだよ」
そういわれても仕方なかった。なにせ、俺はいつもの軽い散歩のつもりで出てきて、優日はそれに着いてきただけなんだから。
「ま、お前らみたいなカップルの考えは俺にはわからんか。そうだ。優日ちゃんこれやるよ。俺からの早いクリスマスプレゼントだ」
拳二は懐からゴツイワニ革の財布を出した。
俺の見立てでは十万はすると思う。
万札でも出すのかと思ったら優日に手渡したのは回数券みたいな物。
俺はいった。
「プレゼントって福引券かよ。」
「これってそこの商店街のやつですよね。悠、ちょっとやって来るね。」
拳二に頭をさげて、優日が商店街の方へ歩いていくのを見送りながら俺はいった。
「なにがクリスマスプレゼントだか…あれじゃティッシュにしかならないだろ。」
「バカ。もしかしたらいいものに変わるかもしれねぇだろ。」
「結局、運任せじゃん」
「かっかっか。さて、俺は行くわ。悠、よいお年を、優日ちゃんと仲良くしろよコノヤロウ」
「おう、そっちもな。っか、年明け前に死ぬなよ。」
拳二は背中越しにバーカといって、街の人混みに飲み込まれた。
なんでかこんな風に悪態をつき合ったあとは少しだけアイツと昔話でもしながら呑みたくなる。
俺がおセンチになって排ガスに汚れた空を見上げてると突然背中になにかが飛び付いてきた。
前倒れになりそうなのを必死に踏ん張って叫んだ。
「なんだ?!」
「悠!悠!やったよ!すごいのが当たったよ!」
背中から返ってきた優日の声は普段の三倍はテンションが高かった。