なぁ、突然だけどアンタは温泉って好きか?

俺個人の意見を言わせてもえば、日本人だったら、大概の人は好きだと思うんだよ。

だって、温泉て癒されるだろ?

心と体が一緒にリフレッシュできるなんて、かなりありがたい存在だと思う。

日本っていうのは世界でもまれにみる温泉大国なんだ。

そもそも温泉は、火山性温泉と非火山性温泉に分けられる。

火山性温泉は火山の地下のマグマを熱源にするもので、非火山性温泉は火山とは無関係の熱源を有するもののこと。

俺たちの住む日本は火山が多い島国だろ?

それに加えてボーリング普及･技術の発達によって温泉の発掘が頻繁に行われて温泉大国になったんだ。

ちなみにアンタは日本全国にどれだけの温泉があるか知ってるか?

その数は3000以上、源泉数に至っては2000を超えてるんだ。

さて、ここまできたら今日する話しのネタはなにか見当がついたよな。
まっ…興味が沸いたらアンタも温泉にいってみてくれよ。












吐く息が白く伸びて、風は氷水のような十二月の夕暮れと夜の境、散歩するのが俺は好きだ。

信号や自動車のテールライトが奇妙に澄んで、ぼんやりと明るい空を地上のネオンを映す赤黒い雲がゆっくりと動いていく。

本当は街の裏通りをひとりで好きな音楽を聴きながら夜歩いて、背を伸ばし、両手を振ってクルーズするのが一番なんだけど……。

「悠。今、ひとりで夜歩きたいなって考えてなかった?」

俺の右隣でそういったのは月見里優日。
トレードマーク(?)であるアディダスの黒い毛糸のニット帽にはゴスポップなドクロのバッチが二つ。

うえは綺麗めのパフケープをかけているのにグレイのパーカとワイドパンツ。

彼女の格好はいつみてもどこかに隙がある。だが、それに萌えてしまう。

ただ何が一番すごいってそのミスを持ち前のスタイルでカバーしているところだろう。

俺はいった。

「よくわかったな。さすがだよ。」

「彼女と一緒よりひとりで歩く方がいいって答えられた私はどうしたらいいの?」

「そうだな。『私がいなくなったら何にもできないくせに』ってキレてみるとか?」

優日はぷくっと頬をふくらませた。白い肌がほんのりとピンクに色づいていく。

「私がいなくても何でもできるじゃん。」

「いっひっひ。数年間そうやっていきてきたからな。けど、今は優日がいてくれないと寂しいよ。たぶん」

「私じゃなかったら今ので絶対別れられてるよ。」

「別れられないって分かってるからいってるんだよ。」

軽い調子の売り言葉に買い言葉。

自分でもわかるくらい天の邪鬼な返答しかしない。
普通なら怒ってもいいような態度だ。

だが、優日は「だよね」っといって、ちいさく笑った。

この天然ぶりに俺は何度も負けている。
みんなにひとつアドバイスだ。

天然は喋らせるな。いい意味でも悪い意味でもな。