この美味しさを大切に
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「なるほど、簡単じゃのう」
「うん、うん。しかもこのイモメシは美味いのぅ。」
「うむ、なつかしいというか……」
「どこかで食べたような……」
目の前に座ってる髪がM字に薄くなってきているじいさんがしみじみといった。
「むかしはうまくなかったの~~」
格別声が大きい訳でもないちょっと酒焼け気味のその一言はみんなの注意を集めた。
「「「んー?」」」
「ふっー…」
おれは煙を真上に吹上た。湯気と混ざりながら白熱灯の光に飲み込まれるように消えていく。
おれはいった。
「どゆことだ?」
「あ、いやぁ、里芋メシはなぁ戦時中食糧難のときによく食べましたてのー…里芋などまだいいほうで……。その辺の雑草木の実・根っこ…量を増やすためなら食えるもんなら何でもいれましたわい」
ユウヒがいった。
「おいしくなかったんですか?」
じいさん連中はしずしずと笑った。
「うむ…そのころはうまいとか不味いとか言っとれんからの。」
「とにかく腹が減ってなー」
M字に薄くなってきているじいさんがいった。
「戦時中の食事といえばスイトンが代表でしたわい。やっぱりうまくはありませんでしたが…」
ユウヒが不思議そうににいった。
「スイトン…って、あの小麦粉の料理ですよね。テレビでたまに見ますけど美味しそうでしたよ。」
「テレビ番組で再現したりして食べたタレントさんが、うまい、うまい、なんて言っとるですが…当たり前なんですわい。」
「え?」
おれは前の席のじいさんにビールを注ぎながらいった。
「あれだけ具が入って、肉も野菜もたくさん入ってたらいい出汁もでるし不味いはずはないだろ。」
「さすがは大将。」
M字に薄くなってるじいさんは顔をくしゃくしゃにして笑ってビールをチビチビと飲んだ。
「まぁ、ユウヒちゃんがわからんのも無理はないわい。」
「当時は調味料なんかも配給で味噌も醤油もおいしくない代用品みたいなもんじゃったしな~」
「里芋もジャガイモも今とは全然違う味やったかもしれんのー」
そうじゃ、そうじゃ、とじいさん達はうなずく。
「ユウヒちゃん、目玉汁ってわかるかな?」
ユウヒは首を傾げる。
「めだま…おやじ?」
「違う違う。」
おれはペコンとユウヒの頭にツッコミをいれた。
すいません。
うちの嫁が天然で…
「大将は知っとるかい?」
おれは煙を吐いていった。
「あまりに出汁が薄くて具も少ないから食べようとすると自分の目玉がはっきり映ってしまう汁のことだろ。」
「そうじゃ。金魚酒というのもあったのー」
「金魚鉢にいれたお酒ですか?」
「ちゃうから。あんまり薄めてあるから金魚をいれても死なないで泳いでられる酒のことだ」
たびたび、うちのナチュラルワイフがすいません。
「へえーっ。」
ユウヒはなるほど、とうなずいた。
「うん、うん。しかもこのイモメシは美味いのぅ。」
「うむ、なつかしいというか……」
「どこかで食べたような……」
目の前に座ってる髪がM字に薄くなってきているじいさんがしみじみといった。
「むかしはうまくなかったの~~」
格別声が大きい訳でもないちょっと酒焼け気味のその一言はみんなの注意を集めた。
「「「んー?」」」
「ふっー…」
おれは煙を真上に吹上た。湯気と混ざりながら白熱灯の光に飲み込まれるように消えていく。
おれはいった。
「どゆことだ?」
「あ、いやぁ、里芋メシはなぁ戦時中食糧難のときによく食べましたてのー…里芋などまだいいほうで……。その辺の雑草木の実・根っこ…量を増やすためなら食えるもんなら何でもいれましたわい」
ユウヒがいった。
「おいしくなかったんですか?」
じいさん連中はしずしずと笑った。
「うむ…そのころはうまいとか不味いとか言っとれんからの。」
「とにかく腹が減ってなー」
M字に薄くなってきているじいさんがいった。
「戦時中の食事といえばスイトンが代表でしたわい。やっぱりうまくはありませんでしたが…」
ユウヒが不思議そうににいった。
「スイトン…って、あの小麦粉の料理ですよね。テレビでたまに見ますけど美味しそうでしたよ。」
「テレビ番組で再現したりして食べたタレントさんが、うまい、うまい、なんて言っとるですが…当たり前なんですわい。」
「え?」
おれは前の席のじいさんにビールを注ぎながらいった。
「あれだけ具が入って、肉も野菜もたくさん入ってたらいい出汁もでるし不味いはずはないだろ。」
「さすがは大将。」
M字に薄くなってるじいさんは顔をくしゃくしゃにして笑ってビールをチビチビと飲んだ。
「まぁ、ユウヒちゃんがわからんのも無理はないわい。」
「当時は調味料なんかも配給で味噌も醤油もおいしくない代用品みたいなもんじゃったしな~」
「里芋もジャガイモも今とは全然違う味やったかもしれんのー」
そうじゃ、そうじゃ、とじいさん達はうなずく。
「ユウヒちゃん、目玉汁ってわかるかな?」
ユウヒは首を傾げる。
「めだま…おやじ?」
「違う違う。」
おれはペコンとユウヒの頭にツッコミをいれた。
すいません。
うちの嫁が天然で…
「大将は知っとるかい?」
おれは煙を吐いていった。
「あまりに出汁が薄くて具も少ないから食べようとすると自分の目玉がはっきり映ってしまう汁のことだろ。」
「そうじゃ。金魚酒というのもあったのー」
「金魚鉢にいれたお酒ですか?」
「ちゃうから。あんまり薄めてあるから金魚をいれても死なないで泳いでられる酒のことだ」
たびたび、うちのナチュラルワイフがすいません。
「へえーっ。」
ユウヒはなるほど、とうなずいた。