昼休みに入り昼食の前に俺は飲み物を買って教室に戻った。

外はまだ雨が降っていて肌寒いより冷たくなってきていた。

「明日も雨かな。」

買い物どうするかなと考えながら席に座ると同時に教室のドアが壊れんばかりの勢いで開いた。

「おはよーございまーす！」

バカ…あ、間違えた。
ずぶ濡れの悠が教室に入ってくる。

テンションが高いのはいいけど、動くたびに教室中に水を振り撒いていて皆迷惑そうにしている。

その内の何人かは「どうにかしろ」と言いたげな顔でこっちを見てきた。

俺は鞄からバスタオルを取りだして悠に投げた。

「悠、身体を拭け。」

「お、ナイスだ。ともきん。」

悠はワシワシと頭を拭きながら礼をいってくる。

どうでもいいが濡れて前髪が垂れ下がってるからマジに幽霊みたいだ…

「傘ぐらいつかえよ。」

「うち番傘しかないし。」
「時代錯誤も甚だしい言い訳だなおい…。」

冗談なのか本気なのか解らないが悠はケラケラと笑っている。

俺はつられて笑った。
バスタオルを頭から被ったままの悠の前に二つの缶を並べる。

「ホット烏龍茶とコーヒーどっちがいい？」

「うーろんちぃ。」

「じゃあ、俺はコーヒーな。」

悠はプシュッと缶をあけてフーフーと吹いてからズズッと啜った。

なんだか、見てるとホッとする。

「暖かい…。ってよく、買ってあったな。あとバスタオルも。」

悠は左の前髪をかきあげて片目だけで俺を見た。
不思議な金の目。

「どうせ、濡れてると思ってなさっき買っといた。バスタオルも持ってきといたんだよ。」

なぜか周りからパチパチと拍手が聞こえてきた。

「お母さん…」

「誰がお母さんだ。」

「ママン」

「言い方の問題じゃない」

まったく、来て早々騒いで…ホントに元気なヤツだ。なんて、話していると、こなた達と昼食をしていたつかさがやって来た。

「悠くん。おはよ…こんにちはかな？」

「おぅ、ともきの嫁。おちわ(おはようこんにちはの略)。」

すげぇ良い笑顔で悠はビシッと親指を立てた。


「ふえぇ///」

「変な事を言うな。」

俺はパコンッと悠にデコピンを打った。

「いや、事実だろ。夫婦！夫婦！夫婦！」

夫婦と連合しながら腕を上げては下げ上げては下げする悠。

そこはかとなくイライラする。
しかも周りの奴等もニマニマとしていて、つかさが真っ赤になってるし。

「///」

「ほら、ともきも夫婦。夫婦。えーりん、えーりん！」

俺は悠を無視してつかさにいった。

「うるさい。黙れ(えーりん？)。つかさ何か用事か？」

「え、あっ…ともきくん。この前の話しどうかな？」

「あー…やっぱり遠慮しとくよ。つかさのトコも色々忙しいだろ。そんな世話にはなれないって。」

つかさは気にしないよ？と念を押してきたが俺は大丈夫といってつかさの頭を撫でた。