制服に着替えて玄関で靴を履く前に携帯をポケットから出しだ。

「多分そろそろ…ほら来た。」

着信が入ると同時のワンコールで俺は出た。

「はい、もしもし。」

受話口からは眠たげな聞きなれた声がいった。

『ともき…おれ……』

イタ電か詐欺と間違えそうな一言だな。

「おはよ。悠。今日も遅刻か？」

『うん…そう…伝言…たのむ』

寝ボケて間違えてかけてきたようにトロリッとした声だな。

「わかった伝えとく。」

悠の言伝てを聴いて電話を切った。
俺は学校に行くことにした。









ｰ教室ｰ

思ったよりも雨は強かった傘をさしていても少し濡れた。

「ふぅ…厄介な天気だよな。」

俺は持ってきたタオルで軽く頭をふきながら、隣にいるつかさに話した。

「うん、そうだよね。予報じゃ今日からずっとお天気だったのに。」

つかさは困っちゃうねと笑う。
そのあどけない笑顔がかわいい。

「つかさも拭くといいよ。」

俺はタオル渡した。

「あ、ともき君。ありがとう」

また、ニコッと笑うつかさ…自分の顔がニヤケていないか心配だ。

すると、不意に誰かが俺の肩をポンっと叩いてきた。
「よっ、ともき。朝からシアワセそうだな。」

振り返ると、岡崎亮がにやにやと笑っていた。

迂闊に反論したらからかわれる。
俺はいった。

「亮、おはよう。そんなにシアワセそうに見えたか？」

普通に挨拶を返すと亮はいった。

「鼻の下伸びてたぞ。」

今度は爽やかにいった。

「はは。後ろからじゃ見えないだろ。」

すると亮は両手をあげてやれやれのポーズをとる。

「ちぇ、悠みたくはいかないか。」

「悠みたいなのがこれ以上増えられてたまるかよ…」

そうだ。
だいたい、こんな風に切り返しができるのは悠が原因なんだしな。

アイツは何かにつけてからかってくるしな。

「っで、悠は？」

「今日は金曜だろ。遅刻だよ。てゆーかなんで俺に聞く？」

亮はケラケラと笑いながらいった。

「だって、ともきは悠の飼い主だろ。」

「あんな猛獣はいらんし。」

「いやいやー。ともき、悠をそのまま小さくして猫耳と尻尾を生やしたのを創造してごらんよ。萌えるよ？」

俺と亮の間にニュッと入ってきて妄言を言い出すこなたの頭に肘をついた。

うん、なかなか置き心地がいいな。

「小さくても狂暴性は変わらないだろ。」

「むしろ、小さくて戦闘能力高いと怖いぞ。ただでさえちょっとした生物兵器なんだし。」

俺と亮はこなたの頭に肘をついたまま話した。
ピョンと飛び上がってるアホ毛が揺れる。

「ち、ちょ…ちぢむ！お二人さんちぢんじゃうから！」

「雨止みませんなぁ…ともきさんや。」

「そうですなあ。亮さんや。」

予鈴がなるまでそのまま談笑した。

その後々に、こなたから熱い視線が降り注いできたが…気のせいだろう。