ｰ広間ｰ

「ふぅ…こんな物かな…なの」

「…ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…」

豆腐と夏野菜のサラダ
ｼﾞｬｶﾞｲﾓ、人参、玉ねぎの角切りコンソメスープ
肉詰めピーマン
枝豆、空豆、インゲン豆三種の豆のかき揚げ

頼まれた通り翡翠の好きな野菜をふんだんに使ったメニュー


「…ゆうは？…」

「さぁ、出掛けた…なの…どうする…先に食べるか…なの？」

「…まつ…」

「そ…なら…お茶でもいれ…」


「たっだいま～！」

ガチャン！
勢いよく扉が開く

「お、旨そうグッドタイミングだな！まお、ご飯大盛りで頼む」

悠は何かやたら荷物を持って入って来る。

「……はぁ…もう少し静かに…入って来い…なの」

真桜は呆れながら悠の茶碗と箸を取りに行く。

「…どこいってたの？…」

「ん？ちょっとな…ほらこれ」

持っていた大きめの紙袋を翡翠に渡す。

「…？…」

「飯食ったら開けてみな。」

「……ｺｸ…」

…………




真桜の料理を腹一杯食べ、翡翠は一休みせずに紙袋の中身を開ける。

「…ぬの？…」

紙袋の中には小綺麗な紙箱が入っていて、更に紙箱を開けるとうす緑の綺麗な布が畳まれている。

「布は布でも浴衣だ」

「…ゆかた……だれの？…」

「いや、お前のだよ。春野翡翠。お前の浴衣だ。」

「…！…」

「プレゼントだ。着て、ちょっと裏庭に出てこいな。」

「……きかたわかんない…」

翡翠は嬉しそうに猫耳髪をパタつかせるが正直に着方が判らないと言う。

「ぬっ…それもそか、じゃ着付けてやるから服脱…」
ガァン！
頭の上から金属製のトレイ(縦)が落ちてきた…

「…真桜が着付けてやる…なの…悠は自室で…「デリカシー」って言葉の意味を調べてろ…なの」

「ふぁい…すんません…」
俺は頭にトレイが突き刺さったままその場を後にした…

…………