その日の夕方……


ｰコンビニｰ

「ありがとうございました～」

ザーザー…ザーザー…
コンビニから出ると外は豪雨にも近い大雨…


「あぅ～、今日雨降る何て言って無かったのに…」

ザーザー…ザーザー…

つかさの呟きは雨音に虚しく飲み込まれる…

「はぁ～…(何で私の好きな商品って近くのコンビニに無いんだろ…)」

ザーザー…ザーザー…

一向に止みそうに無い雨空を見上げて居ると

ザーザー…ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ…

「……♪」

「？」

雨音の隙間に歌声と足音が聞こえた気がする。

「…(こんな雨の中歩いてる人居ないよね)」

勘違いだと思って居ると…

「晴れた空の下では部屋の窓際に～♪てるてる坊主逆さに吊るして♪雨まぁってる～♪」

手には黒い傘を持って、迷彩柄のズボンに銀糸で登り龍が刺繍された黒シャツ姿の悠が歩いている。

「ゆうくん！？」

「～♪んぁ？」

つかさが思わず名前を呼ぶと悠は進行方向を変えて近づいていく。

「よ、つかさどうした？」

悠は服を着たまま風呂にでも入ったように水が滴り落ちる。

「ど、どうしたのはゆうくんの方だよ～ずぶ濡れだよ？」

「はは、久々の雨が嬉しくてずっと散歩してたんだ。つかさは買い物か？」

「え、あ、うん、ちょっと買い物…そしたらこの雨で…」

「ふぅん、わりと遠い処まで買い物来てんだな…あ、そだ傘無いなら貸してやるよ。」

ブン！取っ手に着いた水滴を一振りで散らし悠は傘をつかさに向ける。

「え、で、でも悪いよ。」

「悪いも何も俺はずぶ濡れだし。」

猫の様な八重歯を見せながら笑い悠はバサッっと傘を開く。

「わ…おっきい」

黒い傘は開くとかなり大きく小学生くらいなら3人は入れるかも知れない。