ー裏闘路ー

普段は生々しい打撃音がこだまする筈の闘路だが今日はやけに静かだ、そこに俺が姿を現すと

「あ、悠さんチィーッス」

「悠さん！お久しぶりっす。」

「ゆうさんいらっしゃい。」

そこに集まった男や女に次々と挨拶される。俺はここでは少し有名人だ、裏闘路ランキングと言う物が在り現在俺は１位なのだ。ここには誰が置いたものか知らないが一つ携帯が壁の扉に置いてありそこには上位ランカーの電話番号を登録している、持ち出す事は禁止され、あくまで緊急時しか使用してはならないのがルールだ。噂によると隣のビルオーナーが設置したと言われている。

「よっす、で直也ってどいつ？」

「はい！自分っす。はじめましてお会い出来て光栄っす」

ダメージジーンズに黒のタンクトップでガタイの良い男がよってくる。

「光栄とかやめてくれそれより、さっきの電話だけど・・・」

「あっ！はいその・・・この娘なんっすけど・・・」
直也が奥を指差すそこには何人かの女に頭や肩を撫でられている良く見知った奴が泣いていた。

「つ、つかさぁ？」

俺は予想外の事に変な声をだす。

「ﾋｯｸﾋｯｸゆうくん・・・ﾋｯｸうぁ～ん」

つかさは泣きながら抱き着いてくる。

「お、落ち着け、ほら大丈夫だから、な」

俺はつかさの頭や背中を撫でてやる。

「おい、どう言う事だ！つかさに何したお前ら！」

俺は辺りを睨みながら言う。

「落ち着きなって悠こいつらは何もしてないわよ」

テンションの高い声で奥からまた知った顔が出てくる。

「千草、何でいるんだ・・・？」

「お爺ちゃんに頼まれた買い出しに来てたのよ、で偶々泣いてるつかさちゃんを見つけたのそれで泣いてたからアンタに連絡しようと思ってここに連れて来た訳。」

千草が説明する。

「待て待て！じゃあ俺の名前騙ってた奴が居るってのは何だ？」

俺は直也に質問する。

「ですから、悠さんの名前を騙った奴が来てるって意味っす」

「「・・・」」

俺と千草は固まる。

「あのなこう言う時は名前を騙ってるじゃなくて俺を知ってる人が来てるって言え！」

「すっ、すいません」

直也はシュンとなる。

「それよりつかさ何があった？」

俺は落ち着いて来たつかさに優しく話しかける。

「ﾋｯｸうん、あのね・・・」