ｰ広間ｰ

「いてぇ…」

流石に一発で目が覚めたが頭部がすごく痛い…

「う、うるさい、自業自得だ。」

「自業自得って……寝惚けてたから仕方ないだろ…」

「ならちゃんと目を覚ませ、はい珈琲。」

「どうも…ｽﾞｽﾞ…」

入れたての珈琲を一口飲み…改めて……

「何で居るんだ？」

「何でって…今日は僕と出掛ける予定だろ。」

「ｽﾞｽﾞ…そうだけど今、早朝の6時過ぎですよ？」

「僕は何時もこの時間に起きているぞ。」

「ｽﾞｽﾞ……あの、まゆさんは普段何時に寝ているのですかい？」

「そうだな平日は遅くとも10時位だな。」

「…まゆもう少し夜を楽しもうぜ…」

「僕は充分有意義に過ごしているが？」

まゆは実に不思議そうな顔をする。

「うん、いや…いい…ｽﾞｽﾞ…まゆは何処か行きたい所あるのか？」

「そうだな…とりあえず天気もいいし散歩なんかどうだ？」

「散歩？」

「あぁ、2人で歩きながら話したりお店を見たりしたいな。」

謙虚と言おうか真面目と言おうか…

「ふっ、わかったじゃ出掛けるか。」

「うむ。」

………

ｰ外ｰ

陽射しは相変わらずだが微かに風があり、見計らった様なデート日和。

「悠は黒い服しか持って無いのか？」

「そうだな、基本的に黒しかない。」

「黒は何かのこだわりかい？」

「いや、目立たないし汚れにくいから。」

そう言う悠だが着ている服は背中から肩に龍の刺繍がデカデカとある。
「……凄く目立っていないか？」

「気のせいだ。」

にゃははとお得の猫笑いで誤魔化す。

「そうなのか……ん？」

「～～！」
「～～！」
「ノ、ノー、ノー…」

「何だありゃ？」

少し前で外国人に話し掛けられて困った顔をしている人が居る。