‐生徒会議室‐

「…で?」

「ん?」

「何で連れてきたんだい?」

なっちゃんは俺と亮の間に入りコートの裾をつかんでいる。

「まゆ、それは違うぞ連れてきたのではなく着いてきたのだ。」

「…迷子なのかい?」

「わかんねぇ、けど何か懐かれた。ねー」

「わー!」

俺と亮はなっちゃんの左右の手を掴んでひょいっと持ち上げる。

するとなっちゃんは楽しそうに笑う。

「……しかし、あれだな…」

「ん?」「何だ?」

「いや、うん、何でもない…」

どう見ても仲良し家族にしか見えない…

「あれ?悠、これって迷子札じゃないのか?」

亮はなっちゃんの首から下がっている札を渡してくる。

「ほんとだ、いしはらなつみ…」

名前と連絡先が書かれている。

「携帯の番号みたいだな…掛けてみるか。」

俺は携帯を取り出して電話をかけた。

ぷるる…ぷるる…がちゃ

「あっ、もしもし。なつみちゃんのおとうさんですか?お嬢さんを路上で保護したんですけど…」

[ああ…それはどうも、私仕事中なんでその辺の交番にでも預けといてください。]

「はぁ?何いってだあんた?」

隣で聴いていた亮が俺から電話を取り上げる。

[娘はどうも私たちが留守中の時に家を抜け出す癖がありましてね。うちは共働き何で面倒ですよ…]

「面倒って…あんたの娘だろ!クリスマスの夜くらい早く帰ってやれよ!」

[な、なんだね君は!]

「亮ちょっとかして…」

[この不景気にクリスマスも何もあるわけないだろう、第一私たちは娘を育てるために働いているようなモノなんだ　それを君は…]

「あーお父さん?なつみちゃんは俺らが預かりましたから。あーんな写真やビデオを撮られてそう言う趣味のお客に売られてもしらねぇから…じゃ。」

[ちょ!]

ぶっ…即効電源ごと切った。