四季廻り
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「きゃあっ!!」
絹を裂くような悲鳴にハッとなって掴んでいた腕を離した。いささか強く握り過ぎたかもしれない。おれは脊髄反射的に謝った。
「すまん、真桜。大丈夫か?」
「あ、は、はいっ。平気ですぅ。け、けど、私、真桜ちゃんじゃないです。」
「あー?」
じっと見てみると、確かに真桜ではなかった。冷淡淡白から打って変わって挙動不審に視線をキョロキョロさせてるのは冬花星凪だった。だぼっとしたグレーのズボンに、明らかにワンサイズ大きい長袖のシャツは所々に小さな兎が跳ねている。星凪は困ったようなうわ目づかいでおれを見ながらいった。
「あ、あの……離してもらっても……いいですか?」
おれは握ったままの星凪の腕を離した。
どうでもいいが星凪の声は最後の方は聞こえなくなっていた。かなりの尻すぼみだ。
「あ、ありがとうございます」
「いや、こっちがなんか勝手に掴んじゃったみたいだし。ごめんな」
「そ、そんな。謝らないでください。ね、寝ぼけちゃったんですよね?あ、そ、それとも、私がおこしちゃいましたか?!」
少女はひとりでテンパりだしてしまった。
「か、風邪ひいちゃったらいけないと思って毛布持ってきてそのバタバタしちゃって……あの、その……」
おれは結構長い時間を寝ていたらしい。今さら手足が冷え気っいる事に気がついた。吐き出す息も白く色づいて夜空へ立ち昇霧散する。空が黒いのでブラックボードに砂糖を振りまいたように幻想的だった。それにしても、いつから寝ていたのか思い出せない。っというか、さっきから何か長い夢?を見て起きてを繰り返している気がする。難しい顔をしてると、恐るおそる顔を覗きこんでくる少女に気がついた。声を掛けづらそうにもじもじしているのでこっちから声を掛けた。
「あー?どうかしたか?」
「お、怒ってますか?」
怒る理由も怒ってるつもりもなかったのだが、星凪は人一倍臆病で顔色に敏感だったのを思い出した。とりあえず、泣く事はなくても気落ちされたら困るので、取り繕ったいい訳をする。
「いやいや、ちょっと寒かっただけだ。別に星凪は悪くないから、な?」
「は、はい!」
いちいちオーバーなリアクションをする娘だった。おれはふと思って聞いてみる。
「なあ、今日って何月の何日だっけ?」
星凪は変な顔をした。当然だろう、大の男がいきなり今日の月日がいつなのかを真顔で尋ねてくるのだから。少し考えて彼女はいった。
「12月24日……です。」
クリスマス・イヴ……なるほどな、どうりで底冷えする寒さだと思った。寒さに弱いおれがどう曲がり間違えてこんな所で寝こけてしまったのだろうか。立ちあがって大きく背伸びした。
「んんっ~はぁー……。とりあえず中に入ろう凍えて風邪ひく前に」
「そうですね。」
既に手足が冷えているおれは台所に立った。ケトルに火を掛けて星凪に聞いた。
「星凪は……コーヒーとカフェオレとホットミルクと紅茶とジャスミン茶とミルクティと緑茶とミネストローネとコーンスープとホットチョコとレモンティと白湯とみそ汁とクラムチャウダーの中ならなにが良い?」
「え……えとえーと、ホットミルクがいいですっ!」
冗談でいったホットミルクを選択するとは、沸かしたお湯はおれが腹いっぱい何かを飲むことで消費するとしよう。冷蔵庫から牛乳パックを取り出してカップに注ぐ、そこに蜂蜜を大さじ二杯ぐらいめんどいときはスティックシュガーを一本注ぎ込む。あとはスプーンで攪拌してレンジでチン。洒落っ気が無いのでシナモンスティックを添えて星凪の前に持っていく。
「お待たせしました。どうぞ、ホットミルクです」
「あ、ぁりがとぅ……ごじゃいますっ//」
何か不思議な発音だったが気にしないでおこう。おれは自分の分のコーヒーを大型のマグカップになみなみと作って星凪の隣に座った。テレビも付けてないのでシンっとしている。何か話してもいいのだが特にこれといった話題がでて来ない。どうしたものかなと思って横目に彼女を見ると口元がほころんでいた。おれは気になって聞いた。
「笑ってどした?」
「えっ……あっ、えと……その……笑わないでくださいね。こうやって悠さんといっしょできてうれしいなぁって思って」
「そーいうもん?」
「はい、そーいうもんです」
良くわからないが本人が満足してるようなのでいいだろう。それにしても何だか長い夢を見ていた気分だ。さんざん寝ていたはずなのに今も身体が温まったせいか瞼が重くなっている。これで目を閉じて起きたら今が今なのか、これ自体か夢なのか分からない。けれども……きっと誰かが側に居るんだろうな……。
END
絹を裂くような悲鳴にハッとなって掴んでいた腕を離した。いささか強く握り過ぎたかもしれない。おれは脊髄反射的に謝った。
「すまん、真桜。大丈夫か?」
「あ、は、はいっ。平気ですぅ。け、けど、私、真桜ちゃんじゃないです。」
「あー?」
じっと見てみると、確かに真桜ではなかった。冷淡淡白から打って変わって挙動不審に視線をキョロキョロさせてるのは冬花星凪だった。だぼっとしたグレーのズボンに、明らかにワンサイズ大きい長袖のシャツは所々に小さな兎が跳ねている。星凪は困ったようなうわ目づかいでおれを見ながらいった。
「あ、あの……離してもらっても……いいですか?」
おれは握ったままの星凪の腕を離した。
どうでもいいが星凪の声は最後の方は聞こえなくなっていた。かなりの尻すぼみだ。
「あ、ありがとうございます」
「いや、こっちがなんか勝手に掴んじゃったみたいだし。ごめんな」
「そ、そんな。謝らないでください。ね、寝ぼけちゃったんですよね?あ、そ、それとも、私がおこしちゃいましたか?!」
少女はひとりでテンパりだしてしまった。
「か、風邪ひいちゃったらいけないと思って毛布持ってきてそのバタバタしちゃって……あの、その……」
おれは結構長い時間を寝ていたらしい。今さら手足が冷え気っいる事に気がついた。吐き出す息も白く色づいて夜空へ立ち昇霧散する。空が黒いのでブラックボードに砂糖を振りまいたように幻想的だった。それにしても、いつから寝ていたのか思い出せない。っというか、さっきから何か長い夢?を見て起きてを繰り返している気がする。難しい顔をしてると、恐るおそる顔を覗きこんでくる少女に気がついた。声を掛けづらそうにもじもじしているのでこっちから声を掛けた。
「あー?どうかしたか?」
「お、怒ってますか?」
怒る理由も怒ってるつもりもなかったのだが、星凪は人一倍臆病で顔色に敏感だったのを思い出した。とりあえず、泣く事はなくても気落ちされたら困るので、取り繕ったいい訳をする。
「いやいや、ちょっと寒かっただけだ。別に星凪は悪くないから、な?」
「は、はい!」
いちいちオーバーなリアクションをする娘だった。おれはふと思って聞いてみる。
「なあ、今日って何月の何日だっけ?」
星凪は変な顔をした。当然だろう、大の男がいきなり今日の月日がいつなのかを真顔で尋ねてくるのだから。少し考えて彼女はいった。
「12月24日……です。」
クリスマス・イヴ……なるほどな、どうりで底冷えする寒さだと思った。寒さに弱いおれがどう曲がり間違えてこんな所で寝こけてしまったのだろうか。立ちあがって大きく背伸びした。
「んんっ~はぁー……。とりあえず中に入ろう凍えて風邪ひく前に」
「そうですね。」
既に手足が冷えているおれは台所に立った。ケトルに火を掛けて星凪に聞いた。
「星凪は……コーヒーとカフェオレとホットミルクと紅茶とジャスミン茶とミルクティと緑茶とミネストローネとコーンスープとホットチョコとレモンティと白湯とみそ汁とクラムチャウダーの中ならなにが良い?」
「え……えとえーと、ホットミルクがいいですっ!」
冗談でいったホットミルクを選択するとは、沸かしたお湯はおれが腹いっぱい何かを飲むことで消費するとしよう。冷蔵庫から牛乳パックを取り出してカップに注ぐ、そこに蜂蜜を大さじ二杯ぐらいめんどいときはスティックシュガーを一本注ぎ込む。あとはスプーンで攪拌してレンジでチン。洒落っ気が無いのでシナモンスティックを添えて星凪の前に持っていく。
「お待たせしました。どうぞ、ホットミルクです」
「あ、ぁりがとぅ……ごじゃいますっ//」
何か不思議な発音だったが気にしないでおこう。おれは自分の分のコーヒーを大型のマグカップになみなみと作って星凪の隣に座った。テレビも付けてないのでシンっとしている。何か話してもいいのだが特にこれといった話題がでて来ない。どうしたものかなと思って横目に彼女を見ると口元がほころんでいた。おれは気になって聞いた。
「笑ってどした?」
「えっ……あっ、えと……その……笑わないでくださいね。こうやって悠さんといっしょできてうれしいなぁって思って」
「そーいうもん?」
「はい、そーいうもんです」
良くわからないが本人が満足してるようなのでいいだろう。それにしても何だか長い夢を見ていた気分だ。さんざん寝ていたはずなのに今も身体が温まったせいか瞼が重くなっている。これで目を閉じて起きたら今が今なのか、これ自体か夢なのか分からない。けれども……きっと誰かが側に居るんだろうな……。
END