四季廻り
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パコンっとデコに何かが当たった。鋭い痛みに目を開けると辺りは薄暗くなっていた。まさか、座ったまま寝てしまったのかと首を左右に振ってよくよく確かめたが、庭木の奥から覗く電灯に灯がともりだしている。夜、少なくとも夕暮だという紛れもない証拠におれは叫んだ。
「ごめんっ!海、寝過ごした!!」
パコンっともう一度、同じところに走る鋭い痛み。
「お前はさっきから何、寝恍(とぼ)けてるなの」
冷たいというか淡白な大人びた幼声に視線を向けると、半分目を閉じた眠たげ目で冷たい視線を向けてくる色が白すぎる少女。秋宵月真桜。肩からずり落ちた紙のようにペラペラのワンピースの肩ひもを直しながら彼女はいう。
「月見団子を見てろといったのに、なに居眠りこいてるなの。」
「月見……?夏にか?」
真桜は三度目のデコピンを放って言った。
「とうとうボケたかなの。今は秋なの。」
「痛っ~……今ので目が覚めたよ。もう、止めてくれ。」
そうだ。今日は十五夜で珍しく真桜と二人きりになったんで、ささやかな月見会でもしようとしてたんだっけ。
「まったく、アレだけ寝てて、まだうたた寝するってなんなんだなの」
「うたた寝なんだから意図して寝てる訳じゃないっての。」
反論に対してやつは四度目のデコピンを仕掛けて来たので、おれはデコを押えて防衛した。真桜のデコピンは脳に響く。あのほっそい指から繰り出されたとは思わないほどの威力なのだ。そう何発も喰らったら、それこそ起きられなくなる。まだ、ジリジリと隙間を狙っているのが恐ろしい。
「真桜さんや、月見しましょう。お月見。綺麗な満月ですから」
「……しかたないから誤魔化されてやるなの」
「誤魔化されてくれてありがとうございます。」
そういった物の本当はまだハッキリと月は出ていない。まだ、夕暮れのオレンジが残っていて黒い夜とのグラデーションの中にぼんやりと月の輪郭が解る程度だ。ある意味神秘的な夕暮れと夜の境の空を見上げていると、懐に真桜が収まってきた。もぞもぞと座りのいい位置を探してるのを自由にさせてると彼女はいった。
「手が邪魔なの。開けなの。」
そういわれて、条件反射的におれは手を広げた。おれの膝の上でいい位置を決めると、背を預けてくる。広げてたままのおれの腕を掴んで、自分の前でクロスさせた。なんだか、我が子を抱き抱えてるカンガルーみたいな恰好。
ただ、真桜はこれが気にいったのか空を見上げていった。
「暫くこのままで居ろなの」
「いいけど。お前大丈夫か?暑いの苦手なのに」
かなりの密着具合で体温はかなり高まっていた。低温低血圧と自負する真桜でもこれだけ密着すると子供らしく、それなりに高い体温を背中から感じた。なぜか、腕を更に引き込まれる。そして、蚊が鳴くような声でいう。
「こういう暑さは別にいいなの。だから、もっとギュッとしろなの。」
殆ど覆いかぶさるみたいな形で抱きしめてやる。コイツは自分から甘えることが極端に少ないので、たまに要望を出して来た時くらいは答えてやる。
「こんな感じでいいでせうか?」
「少し重いなの」
「うーむ……難しいな。」
おれの右手を小さな手がペタペタと触る。盲目の人がゆっくりと形を憶えるかのように、手のひら、指先、指のあいだ、爪、手の甲と丁寧かつ丁重になぞっていた。何だろうか、不思議に思ってると彼女はポツリといった。
「傷だらけなの」
「あー?」
「手の甲に至っては古傷が重なり合うように傷ついてるなの」
言われなくても知っている。っか、今さらのことだった。
「なんだ?手触りの悪さの文句は受け付けないぞ」
真桜はおれのなかでモゾモゾと動く、向き合う形になって真桜はいきなりおれの服の中に手を突っ込んできた。冷たい小さな手は首にまわってくる。
「頚部や肩幅は発達して……」
なめらかに艶やかにおれの身体を撫でまわし、最後は顔まで上がってきて、両目を閉ざさせられる。暗転する視界のなか真桜は続けた。
「胸も厚い、腕も太く引き締まってる……なの。とても逞しいなの」
ゾッとした電気が背中に走った。いつの間にか手が下の方へと向かっていて、敏感な部分をひとなでされる……。
「ここも……逞しいなの」
ジジジっと降ろされていくジッパー。おれは目を開けて真桜の手を掴んだ。
「ごめんっ!海、寝過ごした!!」
パコンっともう一度、同じところに走る鋭い痛み。
「お前はさっきから何、寝恍(とぼ)けてるなの」
冷たいというか淡白な大人びた幼声に視線を向けると、半分目を閉じた眠たげ目で冷たい視線を向けてくる色が白すぎる少女。秋宵月真桜。肩からずり落ちた紙のようにペラペラのワンピースの肩ひもを直しながら彼女はいう。
「月見団子を見てろといったのに、なに居眠りこいてるなの。」
「月見……?夏にか?」
真桜は三度目のデコピンを放って言った。
「とうとうボケたかなの。今は秋なの。」
「痛っ~……今ので目が覚めたよ。もう、止めてくれ。」
そうだ。今日は十五夜で珍しく真桜と二人きりになったんで、ささやかな月見会でもしようとしてたんだっけ。
「まったく、アレだけ寝てて、まだうたた寝するってなんなんだなの」
「うたた寝なんだから意図して寝てる訳じゃないっての。」
反論に対してやつは四度目のデコピンを仕掛けて来たので、おれはデコを押えて防衛した。真桜のデコピンは脳に響く。あのほっそい指から繰り出されたとは思わないほどの威力なのだ。そう何発も喰らったら、それこそ起きられなくなる。まだ、ジリジリと隙間を狙っているのが恐ろしい。
「真桜さんや、月見しましょう。お月見。綺麗な満月ですから」
「……しかたないから誤魔化されてやるなの」
「誤魔化されてくれてありがとうございます。」
そういった物の本当はまだハッキリと月は出ていない。まだ、夕暮れのオレンジが残っていて黒い夜とのグラデーションの中にぼんやりと月の輪郭が解る程度だ。ある意味神秘的な夕暮れと夜の境の空を見上げていると、懐に真桜が収まってきた。もぞもぞと座りのいい位置を探してるのを自由にさせてると彼女はいった。
「手が邪魔なの。開けなの。」
そういわれて、条件反射的におれは手を広げた。おれの膝の上でいい位置を決めると、背を預けてくる。広げてたままのおれの腕を掴んで、自分の前でクロスさせた。なんだか、我が子を抱き抱えてるカンガルーみたいな恰好。
ただ、真桜はこれが気にいったのか空を見上げていった。
「暫くこのままで居ろなの」
「いいけど。お前大丈夫か?暑いの苦手なのに」
かなりの密着具合で体温はかなり高まっていた。低温低血圧と自負する真桜でもこれだけ密着すると子供らしく、それなりに高い体温を背中から感じた。なぜか、腕を更に引き込まれる。そして、蚊が鳴くような声でいう。
「こういう暑さは別にいいなの。だから、もっとギュッとしろなの。」
殆ど覆いかぶさるみたいな形で抱きしめてやる。コイツは自分から甘えることが極端に少ないので、たまに要望を出して来た時くらいは答えてやる。
「こんな感じでいいでせうか?」
「少し重いなの」
「うーむ……難しいな。」
おれの右手を小さな手がペタペタと触る。盲目の人がゆっくりと形を憶えるかのように、手のひら、指先、指のあいだ、爪、手の甲と丁寧かつ丁重になぞっていた。何だろうか、不思議に思ってると彼女はポツリといった。
「傷だらけなの」
「あー?」
「手の甲に至っては古傷が重なり合うように傷ついてるなの」
言われなくても知っている。っか、今さらのことだった。
「なんだ?手触りの悪さの文句は受け付けないぞ」
真桜はおれのなかでモゾモゾと動く、向き合う形になって真桜はいきなりおれの服の中に手を突っ込んできた。冷たい小さな手は首にまわってくる。
「頚部や肩幅は発達して……」
なめらかに艶やかにおれの身体を撫でまわし、最後は顔まで上がってきて、両目を閉ざさせられる。暗転する視界のなか真桜は続けた。
「胸も厚い、腕も太く引き締まってる……なの。とても逞しいなの」
ゾッとした電気が背中に走った。いつの間にか手が下の方へと向かっていて、敏感な部分をひとなでされる……。
「ここも……逞しいなの」
ジジジっと降ろされていくジッパー。おれは目を開けて真桜の手を掴んだ。