勝敗の行方
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今なにが…あったの?」
こなたは教卓の後に隠れながら様子を見る
「千草がしゃがんだ所までは見えたんだが…」
「千草が悠の拳を避けてアッパーを決めようとしたのよ。」
さっきまでカメラをセットしていた稲葉が別のカメラを構えて解説する。
「稲葉…今の見えたのか?」
「えぇ。」
「じゃあ、悠は何で倒れてるの?」
「アッパーを決めようとしたけど、悠は避けられる事を読んでたのね、殴ると同時に右足は蹴りの体勢に入ってて蹴りを入れたのよ…」
しかし、千草もそれを読み足を伸ばした瞬間、足首に三角締めをを掛けて悠を引っぱり倒したのだ。
「ふっふ、終りよ…」
ギリリリッ…
足首を自分側に絞めながら捻る落とす…
「ぐっ…なろ…っ!?」
ゴッ!
左足で蹴り跳ばそうとしたが脛の辺りに踵を落とし完全に両足を封じられる。
「さぁ…どぉする?」
ギュチギリリリリリリッ
更に締める力を入れる
「うぐぐっ…な・め・ん・なぁ!!」
ダァ!!ブチンッ!!
悠は両手を床に叩きつけ、千草ごと逆立ちをして持ち上げようとしたが
「わっ!とと!」
すぐに腕を解き、ばく転をして
「っと!」
すっ タン! タン!
悠と千草は同時に立ち上がる。
「……」
「……」
「…よく立てれるわね。」
「お前…切りやがったな…」
ジワリっと悠の額に汗が浮かび…
トンッ…トンッ…と片足立ちになりバランスをとる
「どうしたんだ?」
「あら…悠、足の腱が切られたみたいね。」
「腱…って…」
「形勢が変わったわね…クスクス」
稲葉はカメラをズームさせつつ冷静にしかし、とても楽しそうにしている。
「動くから悪いのよ、次は何処を壊されたい?」
「…(あれを使うか…)」
スッ…
右腕を前に伸ばし
「徒手(としゅ)?…OK。」
千草も同じように右腕を伸ばし手の裏を互いに軽く当て合い…
「お返しだ!」
ガシッ グリン!!
「わっ!」
悠は手首を180°捻り、千草の手首を掴み…半回転さすように捻り投げた。
「なんの!」
千草の身体は空に投げられたが、掴まれた手首を支点に自らの方に腕を引き…
ガコッ!ガシッ!ドゴッ!?
「ゴフッ!」
仰向けに倒れた悠の首と胸に足を落とし、右腕の肘に右手を添え、左手は手首を下に押す様に力を入れて我流十字固めを掛ける。
「動けば…今度は右腕よ…」
「ぐっ…」
「ギブアップしなさいよ~」
ギリギリギリ…
ミシ…ミシシ…
力を入れると骨の軋む音が響く…
「く、くくくっ…」
「な、何が可笑しいのよ?」
「もらった…」
ガスッ!
「?!」
拳を解いて平手に開き千草の喉目掛け抜き手を刺した。
バッ!ズザッ…
「カハッ、カハッ、カハッ…この…」
「へへ…」
千草は喉を押さえて悠を睨み、ゴホッと一度大きく咳き込むと構え直し…
「そろそろ、決めるか…」
「そうね…」
二人は同時に動いた。
ガラララァ!?
バッ!ガチャ…ズザッ…
「なんや、お前らまだ残っとたんか?」
扉が開いて黒井先生が入って来る。
「あ、もう帰りますから。」
「やったら机戻して、とっとと帰るんやで。」
「は~い…」
悠は手を振って黒井先生を送り出すが…
「え?あ、あれ?」
「千草と稲葉は何処だ?」
一瞬にして、教室にはこなた、亮、悠だけになっている。
「おい、いいぞ。」
「ふぅ…危なかった…」
「なかなかハラハラしたわね。」
千草は窓から身を乗り出して稲葉は掃除道具入れのロッカーから出てくる。
「いつの間に…しかもここ三階だよね?」
「誰か来る気配がしたからな…」
それに気付いた千草は悠に向かっていたが窓を開け、飛び出て縁にぶら下がり、撮影していた稲葉はロッカーに隠れたのだった。
「…どうする?」
「興がさめたし…もぉいいわ。」
「だな、俺は病院行くとするか…」
「なら、付き添うわ。」
「っー事で先に帰る。じゃあな…」
「じゃあまたね。」
悠片足立ちで稲葉に肩を借りて出ていき…
「えと?これは一応千草ちゃんの勝ち?」
「いや、もぅ勝ち負けとかいいだろ…」
亮は小さくため息を吐くが
「まぁ勝敗を決めるなら…私の負けね。」
「「?どこが(だ)?」」
「完全に動き封じたのに絞め技を外すし、彼奴が本気なら抜き手で私は落ちてたわ…腱れてる癖にあそこまで動けるし…ムカつくわね…」
千草はムスッとしていたが何処か満足した顔をしていた。
END