-路地裏-

ちょうど建物に囲まれ道路からの死角になる場所で…
「さぁ…てと…」

千草は中頃まで歩いて立ち止まり…

「じゃ…早速…寝てろカス！」

「あ？ぬぁ！」

千草は笑顔で一番近くに居た男の腕を自分側に引くと…
ガコッ！

「ぐわあぁぁ！！」

男は肩と肘の関節を外され悲鳴をあげる

「情けないわね…この程度で…」

ガッ！
さらにに足首の辺りを蹴り払い男は地面に倒れ…

「な…」「お…」

「はい、もう二人…」

突然の事に呆然としている他の男の手首の辺りを掴みひねりあげると

ｺｷｯ！ｸｷｯ！

「うわぁあぁ！」
「ひいぃぃ！」

一瞬にして、二人の男の手首は外れ…

「五月蝿い…わね！」

ガッツン！「ぐぎっ」
ｺﾂﾞﾝ！「おぐっ…」
手首を抑えて前屈みになる男二人の頭に肘射ちを叩き込み…

「てめ！このアマ！」

後ろから飛びかかって来て羽交い締めにされたが…

「気安く…触らないで！」

男の後頭部に手を回し、両の親指で頸椎の部分を押さえ
ｺﾞﾘｭｯ…
指を差し込む様にひねり

「ぎ…」

悲鳴をあげる暇もなく男は意識が飛び、崩れ落ち……

「あと、一人は…」

「このっ！死ねえぇ！！」
「！！」

後ろから鉄ﾊﾟｲﾌﾟを振りかぶって来きて居て…

ガッ！！

「あ…れ？」

「痛っ～…腕折れるかと思った…」

千草の顔の前には腕があり鉄ﾊﾟｲﾌﾟの直撃を受け止める形になっていて…

「な、誰だ！」

「コイツのツレだよっと！」

ｸﾞｨｨ！ｸﾞｼｬ！
鉄ﾊﾟｲﾌﾟを掴み手前に引くと同時に男の顔面に右ｽﾄﾚｰﾄが決まって倒れ込む…

「一撃必殺…てか？」

黒地に桜の木に寄りかかるがしゃドクロの刺繍入りのシャツに迷彩のズボン姿のよく知る男が猫みたいな八重歯を見せてにやにやと笑う。

「に、逃げろ！」

「置いてくなぁ！」

男達は外れた腕や手首をぶらぶらさせながら逃げて行き…

「おーおー、無茶苦茶痛々しい姿で逃げていくな…」

「……悠、あんた何やってのよ？」

「マリオ探してんだよ、そしたら知り合いが男を連れ込んでたから見に来ただけだ。」

「連れ込んでじゃ無くて連れ込まれてたのよ！間違え無いでよね！」

「危ね！こら！殴り掛かるな！やめい！」

悠は私の頭を押さえていると

「おい…女相手に何やってんだ！！」

「あん？」

ビュバ！ガｯン！

一瞬何が起こったか理解が出来なかった、しかし、千草の目は全てを捉えていた…

「…ぐぅっ」

「まぁだ残りがいたか…」
悠の肩を誰かが引き、振り向き様に殴りかかったが頭を傾かせ拳を避け、逆に相手の右顔に一撃が炸裂し地面に倒れた…

「ちょ！…悠違う！その人関係ないわよ！」

「へっ？今殴りかかって…」

「どう考えてもアンタが私を襲ってたように見えたから助けに入ったのよ！」

「……」

「ぐっ…」

悠は倒れてる男を見て…

「千草、悪いあと頼んだ…」

「あ！ちょ！こら！」

悠は猛スピードで走り逃げて行き…

「っ痛……」

「あ、えと…だ、大丈夫？」

千草は手を伸ばしたが…

「…アンタこそ大丈夫か？」

殴られた男は手を借りずに右頬を押さえながら立ち上がり…

「私はね…そっちの方が酷いわよ？ほら血出てる。」
ポケットからﾊﾝｶﾁを出して口の端に当てる。

「…汚れるぞ。」

「ﾊﾝｶﾁくらい良いわよ、来てくれたおかげて、逃げて行ったし…(適当に誤魔化しとこ…)」

男にﾊﾝｶﾁを渡し、鞄を拾っていると

「…殴られただけに思えたけどな…」

「人が来て慌てたのよ、きっと…じゃありがとうね。」

お礼を伝えて千草は歩いて行き…

「…あ、ﾊﾝｶﾁ…」

男はﾊﾝｶﾁを返し忘れたが、既に千草は見えなくなっていた。