「あ、ここです。」

「ここです。って…アンタ音大生だったのか…」

「はい、陸桜音楽学園2年多賀谷真澄です。」

まゆの背中で今更ながら自己紹介する真澄…

「「…(年上なんだ(かよ))」」

悠とまゆが顔を見合わせていると

「あ、一階の教室までお願いします。」

「勝手に入っていいのか？」

「はい、大丈夫です。うちの学校、人多いですから。」

「正式な手続きを踏めば…」

「面倒だ、さっさと行こうぜ…」

悠はさっさと建物の中に入って行くのでまゆは後を追って行く…

-音響室-

「ここです。」

一室の前でここだと言われ

「失礼します。」

扉を開けるとピアノとヴァイオリンの音が耳に入って来る

「はい？…えと？君は？」

座って居た男の人が誰だ？と言う表情でこちらを見てきたので悠とまゆは経緯を説明した。

「なるほど…それは色々迷惑を…」

「いえ、迷惑何て気にしないでください。」

「楽器大丈夫かな…」

「開けてみたほうが早いでしょ。」

悠は楽器ｹｰｽを開けようとしたが…
ガチャ…ガチャ…

「ん？どうも…開かないな…」

「落ちた時歪んだんでしょうか…」

「ちょっと力入れてみるか…」

ｸﾞｸﾞｸﾞ…
悠は力を入れてｹｰｽをこじ開けようとし…

「悠あんまり無茶は…」

ﾊﾞｷﾞｨ！

「「「あ…」」」

蓋が開き勢い良く中のヴァイオリンが空を舞う…

ひゃ～… バシッ！

「あ、あぶねぇ！」

悠は間一髪でヴァイオリンをキャッチした…

「は、はぁ～良かった…」

「悠！せっかく無事だった楽器を壊すつもりか！」

「いや、わざとじゃねーよ！偶然飛んだんだよ、そ、それにほら…」

～～♪～♪～♪
悠は誤魔化す様にヴァイオリンを奏でる。

「おや…」「…凄い」

「うん、楽器は大丈夫みたいだな。」

悠は納得したようにヴァイオリンを真澄に返した。