-教室(3-B)-

「あーぁ…誰も居ねぇし…亮も帰ったか…」

「あ！居た！」

後を追い、教室の中を覗いてみると悠はバックを肩に掛け帰り支度を終えた所だったようで

「ふぅ…間に合った。」

「？まゆどうした？ファイルに不備があったか？」

「いや、そうじゃ無い、が…君は人を待つことが出来ないのかい？」

まゆは少し不満げな顔で悠を見る

「？何かまだやる事あったけ？」

「質問を質問で返すのも君の悪い癖だぞ。」

「え～と…あの～…用事ないなら帰りますので…失礼しまぁす…」

話が前に進まないので悠は帰ろうとすると…

「ま、待て、その…」

「…？」

「い、一緒にかえ…ろぉ…」

まゆは言葉の語尾を小さく濁して目線をそらす…

「ああ、良いぞ。けど…」

「けど？」

「…鞄は？」

「あ…」

まゆは慌て教室を飛び出て行き自分の教室から鞄を持って戻って来て、二人は学校を後にした…

… … …


「それにしても、悠」

「ん～？何だ？」

悠は返事をしつつiPodを操作する。

「君は少し冷たく無いか？」

「冷たい？冷え症じゃ無いけど？」

「そうじゃなくて！」

「はは、冗談だ冗談。それで何処が冷たいって？」

「…その僕と君はつ、付き合って居る…だろ？」

「ああ、そうだ。」

悠はピッとiPodの操作を終えポケットに入れると、ニコッと笑いながら答える。

「だ、だったら、もう少し…その、付き合って居る様に振る舞っても…」

「あまり人目に着く様な事はせず普段通りにって言ったのは誰でしたか？」

「そ、それは言ったけど、何も先に帰ろうとしなくても良いじゃ無いか？」

「忙しそうだったからな、邪魔するのも悪いと思ったんだよ。」

「む……それは、もしかして焼きもちをやいてるのか？」

「はい？」

悠は首を傾げ何の事をおっしゃっていますか？のオーラを振り撒くが…

「何だ、そう言う事か…悠安心しろ、僕は皆と仲良くするが浮気などしないぞ。」

「あの～…まゆさん？」

「うんうん、まったく悠は子供っぽい所があるな。」

訂正してやろうかと思ったが、まゆは話を聞いていない…

「…(ま、いいか…)」

子供っぽいなどと言っては居るがまゆの顔は綻んでいたので悠は笑いながらまゆの頭を優しく撫でた。