第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「バイトしたい人」

クロ「は?」

お仙『はイ!』

クロ「待てや!」

メリー「バイトって?」

福太郎「あやかし屋で忙しい時だけヘルプ入って欲しいらしんよ。まぁ、むちゃくちゃ切羽詰まっとるわけでもないらしいけど」

クロ「へぇ、あそこ流行ってるんだな」

福太郎「幽霊・妖怪も暇なんかな」

すっきー『お墓の周りのひとらはだいぶん暇なんじゃないっすかね。』

福太郎「そうなん?」

すっきー『お墓にいる人はお墓が家かつテリトリーみたいなものですからね。』

メリー「だとしたら、お墓から動けないんじゃないの?」

クロ「地縛霊ってわけでもないんだろ」

すっきー『私の見解ですが行動限界範囲は集合墓地全域程度じゃなぃっすかね』

福太郎「へぇ」

すっきー『私の見解っすからね。中には全然どこにでも移動できる幽霊さんもいるっすから』

クロ「まぁ、なんにしても。暇な幽霊はあやかし屋に行ってるってことか」

福太郎「そういうこっちゃな」

お仙『じやあ、私が行こウ。』

クロ「やめとけよ。絶対にロクなことにならない」

お仙『大丈夫だ問題なイ。』

クロ「どこからそんな自信がわいてくる…」

福太郎「んー……やってみる?」

お仙『おオ!』

クロ「おいおい、マジかよ」

福太郎「お仙は別段不器用ってわけでもないし俺は平気やと思うんよね。」

メリー「まぁ、転んでスプラッタなことにはならないしね」

お仙『体は頑丈ダ!』

クロ「大丈夫かねぇ…」



ー集合墓地:あやかし屋ー

福太郎「ということで、よかったら、バイトとしてお仙を使ってあげて」

お仙『お仙ダ!』

骨女『本当にいいんですか?』

お仙『もちろんダ。いつでも呼んでくレ!でも、日中よりは日が落ちてからのほうがいイ』

骨女『それはうちも同じですから大丈夫なんし』

福太郎「ちなみに、やるとしたら何の仕事?」

骨女『ジョロちゃんと同じで給仕係ですね。できますか?』

お仙『もちろン!』

骨女『すごい自信ですね。』

福太郎「自陣はたっぷりあるんよ。自信は」

絡新婦「それはどうなんだ…」

福太郎「まぁ、ちょっと試験してみて」

骨女『ですね、じやあ、ちょっとこっちに来てください』

お仙『おウ!』

二口女「キョンシーっていってたけど、跳ねて移動しないんだね。」

福太郎「まぁ、ほとんど人間と変わらんよ。ちょっと死後硬直で硬いけど」

絡新婦「おいおい…」
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