第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

藍「じやあ、ちょっと買い物に行ってきます」

福太郎「大丈夫?」

藍「お任せください。私も紫さまほどではないにしろ、こちらの世界に来ていますので」

紫「よろしく~」

クロ「式も大変だな…」

お仙『私も式神とか欲しいナ』

クロ「いや、お前は使役される側だろキョンシー」

紫「そういえば明日はハロウィンだっけ?」

福太郎「んー、そかな」

紫「あら、あまり興味ないの?」

福太郎「いやー、妖怪からなにから居りますし。そもそも紫さんも妖怪でっしゃろ?」

紫「妖怪だからお祭りごとが大好きなのよ?」

クロ「外国の妖怪のまつりってことについては?」

紫「そんなこといったら、バレンタインやクリスマスもそうでしょ?」

メリー「でも、なんでこんなにハロウィンが話題になったんだろうね。」

紫「人間は非日常にどこか憧れを持つのよ。そして、年に一度仮装をして老若男女たのしめるっていうお祭りだからこそ、盛り上がるのよ」

福太郎「おー、なるほど。」

紫「そのうちバレンタインやクリスマスよりも賑わうんじゃない?」

福太郎「バレンタインよりはもう賑わっとるらしいですよ」

紫「へー」

お仙『じやあ、うちもハロウィンやろウ。友達とか集めテ』

クロ「それやったら人間のが少ないからな」

福太郎「むしろ人間を集めるハロウィンになるな」

紫「逆にまるっきり違う妖怪に仮装したらいいじゃない」

お仙『私吸血鬼』

クロ「対して変わってねぇな!」

福太郎「死んで生き返って血を吸うまでが一緒」

メリー「じゃあ、私は?」

福太郎「…………ティンカーベル?」

メリー「妖精可愛い!」

クロ「サイズで考えただろ」

福太郎「んっ。でも、ようせいって腕力あって槍をぶん回すイメージがあるんよな」

クロ「どこの妖精だろ」

福太郎「ロマンシングなようせい」

紫「ところでハロウィンて南瓜に顔着けるじゃない?」

お仙『ジャックスポットランタン』

クロ「ジャックオーランタン」

紫「あれって確かカブよね?」

福太郎「カブですね。」

メリー「かぶ?」

福太郎「生前に堕落した人生を送ったまま死んだ者の魂が死後の世界への立ち入りを拒否され、悪魔からもらった石炭を火種にし、萎びて転がっていたカブをくりぬき、それを入れたランタンを片手に持って彷徨っている姿だとされている……って話」

紫「また、悪賢い遊び人が悪魔を騙し、死んでも地獄に落ちないという契約を取り付けたけど、死後、生前の行いの悪さから天国へいくことを拒否され悪魔との契約により地獄に行くこともできず、カブに憑依し安住の地を求めこの世を彷徨い続けている姿ともいわれてるわね。」

メリー「ジャック悪いのね。」

福太郎「精霊も善し悪しがあるってことやろ」
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