第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

紫「あら、すっかり日が暮れたわね。」

福太郎「というてもまだ六時前」

紫「あら、そうなの?」

クロ「日が暮れるのが早くなったよな」

福太郎「せやねー……」

紫「んー……どうしようかしら」

福太郎「どうかしました?」

紫「夕飯を食べていくかどうか」

クロ「これだけ飲んどいてまだ食うか」

お仙『食って寝いて遊んデ』

クロ「小学生か!」

メリー「勉強が入ってない」

福太郎「小学生にとっては遊びも勉強やで」

お仙『上手イ!』

クロ「上手くねぇよ!」

福太郎「紫さんが用事ないんやったら食べってってくれてええですよ。」

紫「あら、ホント?催促したみたいで悪いわね。」

クロ「今更感」

すっきー『あはは』

福太郎「ただ、ひとつ問題が」

紫「あら、なにかしら?」

福太郎「夕飯の材料が買い物に行かんとないってこと」

紫「あらまぁ」

クロ「そういえば、今日は買い物いく予定だったしな」

福太郎「ひとっ走りいってきてもええけど、もうちょい休憩したいな」

紫「なら、材料から来てもらいましょう」

クロ「また、隙間か」

紫「えぇ。よいしょ!」
ずるり!
「うわっ!?」

福太郎「材料?」

お仙『誰かひとが出たゾ』

「痛たた……!紫さま!いきなり何をなさるんですか!!」

紫「気にしなくていいわよ。」

「大いに気にしますよ!!」

福太郎「そちらの方は?」

紫「私の式の八雲藍よ。種族は九尾の狐。」

藍「はっ、お、お騒がせしました。私、八雲藍と申します。」

福太郎「俺は…」

藍「御堂福太郎さまですね。お噂はかねがね。あと、紫さまが迷惑をおかけしていて、申し訳ありません。」

福太郎「いえいえ、そんなことないですよ」

紫「失礼しちゃうわ」

藍「そういっていますが、大分お飲みになっていますよね。」

紫「五時間くらいかしら」

クロ「そうだな」

藍「はあぁぁぁ」

紫「何よ、普通でしょ」

藍「ひと様の家にいきなり押しかけて五時間は普通ではありません!!」

紫「怒りっぽいわねぇ。福太郎は気にしないわよ、ねぇ?」

福太郎「まぁ、特には」

藍「えぇ…」

クロ「言いたいことは分かるけど、うちはこんな感じだから気にしないでくれ。」

藍「はぁ……ところで、紫さま、私はなぜ呼ばれたのですか?」

紫「そうそう。今日はここで夕飯にするわよ。だから、いろいろ準備して」

藍「えー……」
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