第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

悠「ふー、寒い」

骨女『おや、寒いですか?』

福太郎「悠は寒がりさんやから」

悠「でも、今日は普通に寒くない?」

恋「ほどほどじゃろ」

悠「絶対領域だからって調子に乗んなよ!」
グイグイ!
恋「やめい!足袋をひっぱるな!」

福太郎「足袋っいうかニーソな」

骨女『ミニスカ着物に白のニーソってなかなかマニアックな組み合わせですよね。』

福太郎「せやね」

悠「どこのキャバクラかと思うよな」

恋「蹴るぞ!」

悠「……」

恋「なんじゃその目は!!」

骨女『あ、寒いなら温かいものいかかです?』

福太郎「なに?」

骨女『お汁粉なんし』

悠「ほう、汁粉か。白玉は入ってる?」

骨女『入ってますよ』

悠「女の子がこねくり回して丸めた白玉?」

骨女『首姉妹のおててがこねくり回した白玉なんし』

悠「よし、いただこう」

恋「今のはなんじゃ!」

福太郎「俺ももらうわ」

恋「お前もか!」

骨女『恋さんはいりませんか?』

恋「……もらう」

骨女『はーい。女の子がこねくり回してできた白玉の入ったお汁粉を3つー!』

抜け首「どんな注文や!!」

ろくろっ首「ぜんざいはいりま~す」

福太郎「きっちりツッコミ入れてくな」

恋「というか、汁粉というたのに、ぜんざいといったぞ」

骨女『そういえばお汁ことぜんざいって何が違うんでしょうね?』

悠「一般的に、関東の場合は小豆あんの汁物全般をしること呼んでる。区別するなら、粒なしのものを御前汁粉、粒ありなら田舎汁粉と呼び分けてる。」

骨女『へー、そうなんですか』

福太郎「これが関西になったら、粒のないもんをしるこ、粒があるものをぜんざいいうんやけどね。」

悠「関東でぜんざいといえば、餅なんかにあんを添えたものだけど、関西ではこれを?」

福太郎「亀山というね。それに餅の形や火の入れ方、口直しなんかも地方によって違いがあるみたいやね。」

恋「ほう、詳しいのう」

悠「こういう説明は年寄りの仕事だろ」

恋「誰が年よりか!!」

福太郎「今のを含めたうえで出てくるんはどっち?」

骨女『うちのは小豆たっぷり何で「ぜんざい」でしょうか』

悠「ああ、おれはそれが好きだ……でも、大事なのは」

骨女『女の子が子も繰り回して丸めた白玉』

悠「Exactly!!」

恋「変態が!」

福太郎「でも、普通にプラスポイントやと思う」

恋「お前もか…。」
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