第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「ガリレオ、予知夢、容疑者Xの献身、ガリレオの苦悩、聖女の救済、真夏の方程式……ほい、六巻おいとくね」

福太郎「おおきに」

ようよう「兄さん方はインドアなのかアウトドアなのか分かんねぇな」

悠「引きこもるときは引きこもる、出るときは出るだ」

福太郎「せやね、景色のええ所は結局あるかないかんし」

悠「歩くの好きだろ」

福太郎「嫌いやないね。それよかもうすぐ昼やけど、ご飯たべ」

悠「いただきます」

福太郎「てく……やね。」

悠「うん」

福太郎「ほな、今日は俺がつくろか」

悠「なに作るのパパー」

福太郎「冷麺でええかな昨日安かってん、ぎょうさん買ってきたんよ」

悠「冷麺は飲み物。おれの大好物をよく分かってる福ちゃん。また親愛度あがったよ」

福太郎「ほな、適当なところで下げんといかんな」

悠「おーう、手厳しー」

福太郎「何事もバランスが大切やろ」

悠「ぐぬぬ」

すっきー『福さんもバランス取れてるタイプではないっぽいですけどね』

メリー「確かに」

福太郎「聞こえとーで」

すっきー『あ、あはは』

悠「なにを?」

福太郎「いや、なんでもないよ」

悠「ふーん、しかし、暑くなってきたらここの部屋ってきつくないか?」

福太郎「んー……まぁ、ヘタしたら外の木陰のが涼しいかもなぁ。ここの西日半端ないし」

悠「こっから近くて木陰があって涼しい場所と言えば…………集合墓地?」

福太郎「俺も今そこ思いついたけど蚊がひどそうやん」

すっきー『いや、問題はそこっすか?』

福太郎「蚊は怖いやろ?」

悠「蚊は怖いな。ウチもバロンとマリオにマラリアの予防接種は怠らないようにしてる」

福太郎「んー……ミツバも予防接種せなアカンな」

ミツバ「びくっ!」

悠「ちなみに予防接種とか動物病院とかでどんな感じなんだ?」

福太郎「どんなって?」

悠「動物の声」

福太郎「んー……一番多いんは匂いがイヤってこえやね」

悠「匂い?」

福太郎「薬の匂いとか人の匂いが混ざって気持ち悪いって声が多いんよなぁ。ただ時々おもろいんは思いっきり飼い主のことを馬鹿にしとる子がおったりするとこやね」

悠「聞いてて疲れたりとかしないのか?」

福太郎「んー……ときどきしんどいンもあるけどもう慣れてしもたな。けど、保健所とかは今でも行きたぁないな。あそこはしんどい」

悠「あー……福ちゃんには本気できつそうだな」

福太郎「まぁ、全部を全部聞こえる訳やないから、今では大分ましやで」

悠「そうか」

福太郎「それよりご飯にしょーや。ちょうどでけたし」

悠「だな。ちなみに福ちゃんは冷麺の具材は?」

福太郎「レタス、トマト、ベーコン、茹で卵」

悠「ベーコンてはじめてだわ」

福太郎「ハムとかよりこっちのが好きなんよ」
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