第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ふー、とりあえず片付いたな」

クロ「服を引っ張り出して、またしまい込んだだけだろ」

お仙『大丈夫ダ。問題なイ。』

クロ「……」

メリー「ところでご主人様?」

福太郎「ん?メリーちゃん、どした?」

メリー「さっきここのあった本を移動したじゃない?」

福太郎「んっ、せやね。」

メリー「つぶしてるよ」

福太郎「なにを?」

メリー「付喪紙」

付喪紙【しくしく】

福太郎「……あらあら」

クロ「いや、どけてやれよ」

福太郎「よいしょ」
スッ
付喪紙【既に扱いがひどすぎませんか?】

福太郎「鍋敷きにしてないし許してや」

お仙『なるほド』

クロ「やるなよ」

お仙『それは振リ?』

クロ「ちげーよ」

メリー「優しくしてあげないとだめだよ」

福太郎「同じ付喪神として?」

メリー「私は付喪神じゃないけどね。」

付喪紙【あなたならスグにでもなれますよきっと】

メリー「ううん、興味ない」

付喪紙【……】

福太郎「ちょっと傷ついた?」

付喪紙【大丈夫です…。】

クロ「明らかに気落ちしてるな」

お仙『何か書いてやろウ』

付喪紙【やめてくださいよ?!】

福太郎「書かれるんもダメなん?」

付喪紙【汚れて喜ぶ人はいないでしょ】

クロ「めんどくさいなコレ」

付喪紙【コレって……】

福太郎「んー……折りたたんどこか」

付喪紙【ちょ?!】

お仙『鶴折ろウ。鶴』

クロ「折れるのか?」

お仙『無理』

クロ「無理なのかよ」

お仙『手裏剣なら折れル』

クロ「なんでだよ」

福太郎「手裏剣て折り紙二枚使うよな?」

お仙『うン』

クロ「なんでお前も折り方知ってるんだよ…」

メリー「二つに破る?」

付喪紙【怖いことばかり言わないでください!】

福太郎「鶴ならええ?」

付喪紙【折らないでください!】

福太郎「折るんもダメやったら……。あとはファイルとかにでも入れとくとか」

クロ「入れたっきりになりそうだな」

福太郎「確かに」

メリー「はい、額に入れておいとくのは?」

福太郎「んー、それありやね。壁にでもかけとけば忘れることはないし」

付喪紙【それでお願いしたいです】

クロ「額に入れられるのはいいんだな」

付喪紙【呼吸とかはしてませんからね。】

お仙『ところで、お前は結局何ができるんダ?』

付喪紙【……お、おしゃべり?】

「「「……」」」
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