第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「そんで付喪紙さんは何でうちの押し入れの中に潜んどってん?」

付喪紙【はい、実は試験途中なんです】

クロ「試験?」

お仙『性質でも調べるのカ?』

福太郎「リトマス試験紙って懐かしいな」

クロ「いや、今はいいからそういうの」

付喪紙【試験というのは正式な付喪神なにるための試験なのです。】

福太郎「正式な付喪神と今の付喪神の違いって?」

付喪紙【色々ありますがわかりやすいのでいえば実体が持てたりします。】

クロ「へぇ」

お仙『どういう事?』

クロ「要するに恋みたいなもんだ。アレの本体は人形だろ?あんな感じに人間姿の身体がもてるってことだ」

福太郎「へー」

付喪紙【なにやら説明が省けたようで助かります。】

福太郎「んで、具体的に試験はどうしたら合格なん?」

付喪紙【わかりません】

福太郎「ん?」

付喪紙【試験内容は教えられてないのです。】

福太郎「難儀やな」

クロ「っか、それでお前はこれからどうする気なんだ?」

付喪紙【私もここで生活させてください】

福太郎「ええよ」

付喪紙【ありがとうございます】

お仙『即答』

クロ「お前、その即答やめろ」

福太郎「いやだって別に付喪神であって疫病神とかでないみたいやし」

付喪紙【そんなものと一緒にしないでください!】

お仙『怒ったゾ』

福太郎「やっぱり違うんやな」

付喪紙【当たり前です!あんな禍々しいのとは全然違います!】

福太郎「問題ないやろ」

クロ「ないっぽいが……どう思う?」

お仙『餌はなにをやればいいんダ?』

付喪紙【飲食はしません】

お仙『手のかからないペットダ』

付喪紙【ペット扱いされてる?!】

クロ「餌っていってたしな」

福太郎「ちなみに移動とかはできるん?」

付喪紙【超時間がかかりますけどできます】

福太郎「出来んと考えてええな」

クロ「だな」

お仙『うン』

付喪紙【えぇ?!】

福太郎「とりあえず、付喪紙はおいといて長袖の服さがそか」

クロ「ああ、そうだったな」

お仙『こっちにおいとくカ』

付喪紙【えー、ちょ、えー】

福太郎「ええと、確かこの辺りにあるはずなんやけど」

クロ「ついでにこの辺りのいらないものは捨てるか」

福太郎「せやね。適当に分別しといて」

クロ「へいへい」

お仙『何か大掃除っぽくなってきたナ』

付喪紙【……】
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