第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「すっかり夜は冷えるなぁ」

お仙『暖房器具出すカ?』

福太郎「それも考えたほうがええかもな」

クロ「っても、炬燵に布団かぶせるだけだろ」

福太郎「んっ」

お仙『クロを抱きしめておくのはどうだろウ』

福太郎「ありやな」

クロ「ねぇよ!」

福太郎「メリーちゃんはホッカイロでええよな」

メリー「熱くなりすぎると怖いんだけど」

お仙『超低燃費』

福太郎「しかし、今夜はホンマに冷えるな」

すっきー『昼間でも肌寒かったっすもんね』

福太郎「長袖のシャツ出しとくべきかな」

クロ「そだな。私も出しとくかな」

お仙『私は平気だゾ』

クロ「お前は熱い寒い感じないだろ」

お仙『バリバリ感じるシ!超敏感だシ!』

クロ「うるせーよ」

福太郎「ええと、シャツは確かこの中に……」
がさごそ…
ドササッ!

クロ「おいおい、なんかいろいろと落ちたぞ」

福太郎「んー、不精せずにちゃんと服のはいっとる箱抜いたらよかった」

すっきー『ホントっすよ』

福太郎「すっきーに言われたらなんか釈然とせんなぁ」

すっきー『なんでっすか?!』

メリー「あれ、それなに?」

クロ「これか?」
ズルルッ

お仙『なんか書いてあるゾ』

福太郎「ん?」

クロ「これは……なんだ?字っぽいものが書かれてるけど」

福太郎「はて……なんやろそれ」

お仙『お札……ではないナ?』

【ふふっ、見つけられてしまいましたな。】

福太郎「ん?なんかいうた?」

クロ「いいや」

お仙『なにモ』

メリー「いってないよ。」

紙【こっちですこっち】

福太郎「あら、紙がしゃべっとる」

お仙『キャァァシャベッター』

すっきー『めっちゃ棒読みっすね…』

クロ「なんだお前?」

付喪紙【私は紙の付喪神。付喪紙です】

福太郎「今のは笑うところかな?」

クロ「破ろうぜ」

お仙『アイサー!』
グッ
付喪紙【ちょ、待って!やめて!待ってぇぇ!】

福太郎「お仙、ストップ」

お仙『ほーイ』

付喪紙【はぁはぁ、死ぬかと思った】

すっきー『破れたら死ぬんすか?』

付喪紙【私はまだ付喪神として年季が低いのでちょっとしたことでダメになるんです】

メリー「ちょっとしたこと?」

付喪紙【破れたり、燃えたり、濡れたり】

クロ「弱点まみれだな」

福太郎「紙やしね」

付喪紙【神でもありますけどね】

クロ「やっぱり破ろう」

お仙『オッケーイ!』
グッ
付喪紙【やめてぇぇぇ!】
45/100ページ
スキ