第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー秋葉原:界隈ー

福太郎「ええ天気やな」

クロ「秋晴れだな」

幽香「そうね。暑くなくて風が気持ちいい。いい感じね」

福太郎「なんかエロい」

クロ「蹴飛ばされるぞ」

幽香「そんなことしないわよ。平手よ」
フォン、フォン

福太郎「その勢いで平手されたら頭取れますわ」

クロ「風を切る音が半端ない……」

幽香「そういえば秋なのよねぇ」

福太郎「急になんか?」

幽香「いえ、四季の流れって早いわよね。」

福太郎「人間の俺でもそう思うんやから。妖怪の幽香さんやクロは大分早いんやない?」

クロ「そこそこかな」

幽香「早いといえば早いけど、もう今更よ」

福太郎「今更かぁ」

幽香「それでどこに買い物行くの?」

福太郎「肉屋さんですよ、この近くにええ肉屋さんがあるんです。」

金剛「お?」

福太郎「んっ?」

金剛「アンタか。」

福太郎「どうも、肉買いに?」

金剛「ああ、まぁ、うちは一回で大量に頼むから届けてもらうんだけどな」

福太郎「焼肉屋さんやもんね」

金剛「アンタは?」

福太郎「うちで焼肉しよーってことになって、肉買いにきたんですわ」

金剛「ああ、ここの店使ってるんだな」

福太郎「金剛君に教えてもらってから肉買う時はここを使こうてるよ」

金剛「そうか……ん?」

幽香「……」

金剛「……」

福太郎「どうかしました?」

金剛「いや、なんでもない。それじゃあな」

福太郎「さいなら」

幽香「なかなか大きな人間ね」

福太郎「人間の中なら相当大きい人やで」

幽香「ふぅん」

福太郎「いきなり殴り合いとかは勘弁ですよ」

幽香「貴方はホント私をなんだと思ってるの」

クロ「いいから肉買って帰ろうぜ」

幽香「尻尾振って待ちわびてる子が居るから買い物済ましましょう」

クロ「誰が尻尾振ってる!」

福太郎「見たいなぁ」

クロ「やかましい!」


~~


福太郎「結構買ったな」
ドサッ

クロ「少し買いすぎじゃないか?」

福太郎「余ったら悠にあげたらええんちゃうかな」

クロ「あそこに渡ったら、この量でも足りないだろ」

福太郎「食べ盛りの子おるしな」

幽香「野菜は買わないの?」

福太郎「野菜はけっこう色々あるんですわ。悠からドンドン送られてきて」

クロ「あいつの数少ないいいところだな」

幽香「数少ないのね」

福太郎「ええとこ多いんやけどねぇ」
30/100ページ
スキ