第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:ゆうかりんランド(畑)ー

泥田坊『んなら、ほい。』
ズゾゾ…

福太郎「泥田坊ひとりで余裕やな」

幽香「そうね。でも、小石とかが混ざってるから拾っていってちょうだい」

福太郎「イエッサー」

お仙『イエス、マイロード!』

クロ「お前ら……」

幽香「素直な子は嫌いじゃないわ」

泥田坊『そんで幽香さま?』

幽香「なに?」

泥田坊『結局何の種を植えるんだべ?』

幽香「もちろん花の種よ。コスモスとかのね」

泥田坊『麦は?』

幽香「ないわよ」

泥田坊『あぅぅ…』

福太郎「そういえば麦畑に憧れとったんやっけ」

泥田坊『へい、アメリカの大麦畑に憧れるんだべ。』

幽香「なら、夢見てなさい」

泥田坊『アッハイ』

福太郎「ワンキル」

幽香「個人的に麦は作り飽きたのよ。幻想郷でたくさん作ったから」

泥田坊『こっちで作ってくれたらいいの……』

幽香「狭いじゃない」

泥田坊『シクシク…』

福太郎「今回は花ばっかりで?」

幽香「なにかリクエストあるの?」

福太郎「んー、今年はネギが高騰しとるんでネギかな」

幽香「現実的ね」

福太郎「野菜って馬鹿にならんですからね。」

幽香「なるほどね。それでねぎの種はあるの?」

福太郎「え?」

幽香「……」

福太郎「ねぎの種もってるひと」

泥田坊『……』

クロ「……」

お仙『ネギならあるけド』

クロ「なんでだよ!」

福太郎「どうでしょう?」

幽香「どうでしょうって……ちょっと貸して」

福太郎「……。」

幽香「なによ?」

福太郎「貸した瞬間にぶったたくんだけは堪忍してください」

幽香「しないわよ。叩くならもう殴ってるし」

福太郎「成程。ほな、どうぞ」
スッ
幽香「……」
ざわ……ざわわわっ!

クロ「ネギが一気に成長した?!」

お仙『花を操る程度の能力だからネギも成長させられるノ?』

幽香「これは気合よ」

クロ「気合?!」

幽香「冗談よ。そんなことより、これで種が取れるでしょ」
サァァァ……

福太郎「んっ、確かに」

お仙『ゆうかりんスゲー!怖いだけじゃなイ!』

幽香「ふふっ」
スパン!
お仙『やーらーれーター』

クロ「ある意味お前すげぇな」

福太郎「ネギって普通に種まいたらええの?」

幽香「普通は苗まで育ててから植えるものだけど……まぁ、いいんじゃない?」

クロ「いいのか」

幽香「そのくらいはサービスしてあげるわ」

お仙『トトロみたイ』

幽香「ん?」

お仙『小石とり楽しいナー』
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