第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:ゆうかりんランド(畑)ー

幽香「ここに来るのも久々ね。」

福太郎「そうですね。」

お仙『この辺りも葉が飛び散ってるナ』

クロ「風強かったもんな」

幽香「そのあたりは後で掃除すればいいわ。」

福太郎「おーい、泥田坊?」

ずぞ…
ずぞぞぞ…
泥田坊『あーい?だれだっぺー?』

クロ「デカっ?!」

お仙『そしてドロドロだナ』

泥田坊『おんや、フクタローさんに幽香さまじゃねーですか。』

幽香「どうしたのその身体?いつも以上に醜いわよ」

福太郎「さらっと酷い」

泥田坊『いんやぁ、こんところの雨のせいでそこら中の泥と混ざちまったんだっぺ。』
ズズッ…ぼたた…

福太郎「めっちゃ崩れとるよ?」

泥田坊『くっついちまってるだけで自分で制御してるわけでねーから。』

幽香「ふぅん。でも、それだと動きにくいでしょう。」
チャキ…

泥田坊『そうなんだすが……こうも混ざっちまうとなかなか……』

幽香「えいっ♪」
パシィィン!

泥田坊『ぎゃー!』

クロ「半分になった…」

幽香「あと三回ぐらいかしら。」

ズパアァァン!
バチィィィン!
バゴォォォン!

お仙『シャベルって本当に切れ味凄いんだナ』

福太郎「使い手がすごいんやと思うで…」

幽香「こんなものかしら」
スチャ

泥田坊『ひぃぃ…』

クロ「不死身じゃなかったら四回死んでるぞ……」

泥田坊『いいい、痛みがないからって真っ二つにされるのは勘弁だっぺ!』

幽香「なに?」

泥田坊『動きやすくしていただいてありがとうございます』

幽香「よろしい」

お仙『調教すごいでス』

福太郎「パナイなぁ」

クロ「悪魔だろ」

幽香「うーうーいう蝙蝠と一緒にしないで欲しいわね。」

クロ「意味が分からない」

幽香「さて、とりあえず畑自体はちゃんと整備してるみたいね。」

泥田坊『へい、ちゃんと言いつけどおりに』

幽香「いいこね。セメント混ぜるのはやめてあげるわ」

福太郎「本気だったんや」

クロ「怖ぇぇ…」

お仙『泥団子、泥団子』
ころころ

クロ「遊んでんな!」

幽香「さて、なに植えようかしら」

福太郎「そういえば種も苗も買ってこんかったんやけど」

幽香「今回は私が種を持ってきたのよ」

お仙『食虫植物?』

幽香「ふふっ」
ピッ
ズゾゾ!
お仙『あーレー』

福太郎「触手……や、なーて蔦かな?」

クロ「あいつは少し痛い目に合うといい」

お仙『頭に血が上ルー』

幽香「それじゃ、植えるのはこれとこれにしましょうか。」
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