第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「福ちゃんなにげにオセロ強いな」
パチパチパチ……

福太郎「そっかな。」
パチパチパチ……

悠「四隅取られたし」
パチパチパチ……

福太郎「せやけど中は黒が犇めいとるやん」
パチパチパチ……

すっきー『男ふたりでオセロってしてるのもシュールっすね』

恋「放っておけ暇なんじゃろ」

すっきー『恋ちゃんさんはテレビにくぎ付けっすね。私もですけど……んっ?』

悠「なんだ、電気が消えたぞ。停電か?」

福太郎「けど、テレビはついとるなぁ……ちょっと、待っといて」

ブレーカ―を見てみるが異常はなく、電灯のスイッチを入れ直してみると普通についた。

悠「なんだったんだ?」

福太郎「さぁ、故障か……」

喋ってるとまた消えた。

恋「…「火間虫入道」の仕業かもしれぬ。」

福太郎「ひまむしにゅうどう?」

恋ちゃんの説明によると、夜遅くまで仕事をしていると明りを吸いとったりして邪魔をする妖怪だという。

悠「困ったな。24時間耐久オセロ勝負が出来ないじゃないか」

福太郎「そんな過酷なゲームに巻き込まれとったんや」

恋「夜通し起きとるもんじゃない、子供は早く寝や」

悠「小娘がなにいってる」

福太郎「というか、恋ちゃんも悠も泊まるつもりなん?」

悠「あー……どうしょっかな」

恋「恋はこのドラマを見終わったらお暇する」

悠「そんな純愛ドラマのどこが面白いんだか……」

恋「ふん、うるさいぞ。」

福太郎「あっ……。」

ブッ……テレビも消えた。真っ暗だ。

恋「い、今いいとこじゃったのに!返せ!!戻せ!!!」

福太郎「おー、恋ちゃんがぶち切れとるなぁ。」

悠「どっちが子供なんだか……。福ちゃん、妖怪を探してもらえるか?」

福太郎「見つかるやろか。」

悠「福ちゃんなら大丈夫だ」

メリー「ご主人様、そとで何か光ってたよ?」

福太郎「外か。」

悠「ぽいな」

メリー「案内しようか?」

福太郎「いや、光っとるんやったらすぐ見つかるやろからええよ。」

悠「よっこいしょ」
むにゅ

恋「ひっ///なっ、何処を触っとるか///!!」

悠「なんか手を着いたら柔っこいものを掴んだ」

すっきー『それ、恋ちゃんさんのお尻ですよ……』

福太郎「恋ちゃんの臀部やて」

恋「バラさんでいい!とっとといって来んか!」

悠「お前ここは福ちゃん家なの忘れんなよ…。」

福太郎「まぁまぁ、電気つかんのは困るしいっとこ」

すっかり日も暮れた夢見長屋の一階に降りていくと普通に入道発見。虫みたいなオッサンの姿でハゲ頭が光っている。邪魔の理由を問いただすと……。

火間虫入道「節電推進」

などとのたまう。ついつい省エネ問題について悠と俺と入道で熱い議論を交えてしまう。その後明りを返却させ帰ってもらった。



福太郎「たーだいま」

悠「もう、テレビ着くぞ」

恋「終わってしもうたわ!雑談してるヒマがあったら先に元に戻させんか!!」
77/100ページ
スキ