第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「さて、台所に来たはええけど……」

クロ「ここで張ってて現れるのか?ガラス戸一枚だけで丸見えだぞぶっちゃけ」

お仙『私お風呂でいるワ』

クロ「入りたいだけだろ」

福太郎「んっ……」

クロ「どした?」

福太郎「来た」

クロ「は?」

天井甞「ベロッ、ベロォッ!」

クロ「本当に現われやがった。」

福太郎「お仙。とっ捕まえて」

お仙『ガッテン!どりゃああぁァ!!』
ズザァァ!
天井甞「ぐぎゃぁぁ!」

クロ「……あいつ、身体硬いくせにどんどん体術に磨きかかってねぇか?」

福太郎「マーシャルアーツ極めるんちゃうかな。超低空ドロップキック凄かったし」

クロ「こえぇよ。」

お仙『捕まえたゾー』

福太郎「はい、ご苦労さん」

天井甞「……」
グテッ

クロ「それ、生きてるか?」

お仙『死んではなイ』

福太郎「死んではないけど、動けない程度にダメージは与えてあると…」

お仙『おうヨ』

クロ「得意げな顔してんな」

お仙『惚れ直しタ?』

クロ「もともと惚れてねぇ!!」

福太郎「はい、じゃ、今のうちにふん縛っとこか」

お仙『アイサー』

クロ「ホント容赦ねぇ…」

福太郎「メリーちゃん、すっきー」

メリー「はーい。」

すっきー『はいっす』

福太郎「どっから入ってきた?」

メリー「窓から入ってきたよ」

すっきー『この窓って鍵締めてても外側から開けられるんすね…』

福太郎「古い作りやからね。まぁ、それに加えて本来二階の窓からは侵入してくると思ってなかったしな。ベランダないし」

お仙『でも、ふつーに悠は上ってきてたゾ』

福太郎「あー確かに……」

天井甞「うぅ…」

福太郎「んっ、起きたかな」

天井甞「はっ、いったい何が…」

福太郎「どうも」

天井甞「ふぁ?!」

福太郎「天井舐めでええんかな」

天井甞「はは、はいそうです!」

福太郎「手荒いやり方で捕まえたことは謝罪するけどうちの天井板が腐ったら困るんよね」

天井甞「すいません、ここの天井美味しくて」

お仙『美味いんダ』

天井甞「ええ、とてもいい塩梅と風味です」

クロ「わかんねぇけど、やめろ。迷惑だ」

天井甞「申し訳ないです…。」

福太郎「代わりと言っては何やけどここの少し先に廃校があるんであそこの天井甞めたらええと思うよ。多分、許可してくれるはずやし」

天井甞「マジですか!」

福太郎「んっ、とりあえずうちの天井さえ舐めるんやめてくれたらええですよ」

天井甞「ありがとうございます。お詫びと言ってはなんですが、雨漏りになったらいつでも言ってください。俺天井調べるの得意なんで」

福太郎「既に雨漏りしとるんやけどね…」
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