第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「覗きって……部屋を?」

抜け首「ちゃうよ」

悠「なら、風呂か?」

ろくろっ首「ちゃうんよ」

クロ「風呂でもなく、部屋でもないとしたら……」

お仙『内臓』

クロ「どうやってそんなものを覗くんだよ!」

お仙『引きずり出しテ』

悠「夏のスプラッタホラー」

抜け首「……」

クロ「コイツらは無視して話を続けてくれ」

ろくろっ首「トイレに出るねん」

福太郎「トイレってまた王道やね」

抜け首「こんな王道いらんわ!」

悠「っか、トイレで覗かれてるって何か証拠があるのか?」

ろくろっ首「明らかに何か気配があってん」

悠「ふむ…」

クロ「お前じゃないだろうな」

悠「おれだったら覗くなんて真似はしない。どうどうと見せてもらう」

ろくろっ首「抜けちゃんのおもらしは見とるしね~」

抜け首「どっちから殴ればええんや?」

クロ「悠だけでいいと思う」

悠「優しく殺してぇ!優しく殺してぇ!」

抜け首「情緒不安定かい!!」

悠「じゃあ、首姉妹の部屋行くか」

福太郎「せやね」

ろくろっ首「よろしゅう~」

抜け首「え、この会話についていけんのはうちだけか?」

クロ「いや、間違ってはないけど。無理に付き合わず適当でいいってことだ」

抜け首「はぁ…」

悠「おーい、抜け子行くぞ」

抜け首「はいはい、って抜け子言うな!」


~~


ー首姉妹の部屋ー

悠「まずは箪笥のチェックからだな」

抜け首「本気で怒るで」

悠「ごめんぴよ」

抜け首「謝る気ないな!!」

福太郎「トイレは?」

ろくろっ首「こっちこっち」

福太郎「んっ、じゃあ、失礼して」
ガチャ…

悠「……ふつーのトイレだな。」

福太郎「せやね。覗かれたいうんは後ろの窓から?」

抜け首「そうなんよ。気配がして振り返ったら誰もおらんのやけど」

悠「ふむ。じゃあ、このまま誰かトイレしてみてくれ」

抜け首「アンタがしてみいや!」

悠「仕方ないな」
かちゃかちゃ

抜け首「やめんかい!」

悠「しろといったり、するなといったり忙しいな」

福太郎「そもそも、こんだけ騒いだら覗きも出てこんのちゃう?」

ろくろっ首「せやね~」

悠「いや、むしろこういう状況だからこそ俄然燃えてくるパターンもある」

ろくろっ首「分からんわぁ~」

福太郎「悠はハードモードなほど燃えるってこと」

ろくろっ首「ああ、なるほどなぁ」
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