第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈ー

悠「なんで全国うまいもの物産展てあんなに心を踊らされるんだろうか」

福太郎「いやー、色々買ってもうたなぁ」

恋「二人とも買いすぎじゃ。すっかり夜道になっておる。」

悠「おれと福ちゃんはちょっと寄るっていうだけだったのに恋が結局あれもこれもってかい込んだからこんな量になったんじゃないか?」

恋「見たこと無い物ばかりじゃからしかたなかろぅ……」

福太郎「恋ちゃんて京都におったんやっけ?」

悠「京都でも山の中で引きこもってたから珍しいんだよ」

恋「引きこもり言うなっ!」

悠「ひゃひゃひゃ」

福太郎「ふふっ……ん?ちょ、悠?両手ふさがっとるんやから背中に飛び着いたら俺は簡単に潰れるで」

悠「あー?おれが飛びつくわけ無いじゃん。第一おれのが飛びついてたら……飛び蹴りかましてるよ?」

福太郎「それは無いわ……ほな、背中におるんは恋ちゃん?」

恋「恋ではないぞ」

福太郎「ほな……だれ?そこそこ重たいんやけど」

悠「……なんか子供みたいなのが憑いてるぞ」

福太郎「こども?」

恋「そいつは「おんぶおばけ」じゃ。」

福太郎「まさか、いきなりお化けに憑かれるやなんて……」

悠「引っぺがしてやろうか」

福太郎「ほな、よろしゅう」

悠「ふんぬっ!」

べりっ!
おんぶおばけ「!!」
福太郎「はー、楽んなった」

恋「たしか我慢して背負っておれば小判に変わるはずじゃったが……」

悠「装着!」
おんぶおばけ「!」

福太郎「まさか背負ってくん?」

悠「まかせろ、小判の分け前は5:4:1な」

恋「待て、どう考えても恋が1扱いじゃろ!!」

悠「さぁ、いくぜ」

福太郎「あれ、害はないん?」

恋「だんだんと重くはなる程度じゃが……普通の人間に耐えられる重さではない。」

福太郎「その辺りは……平気やろ。悠やし」

ズン!ズズン!!
悠「ぐおぉっ……なんのー!!」

福太郎「すげぇ……歩いた位置の地面がへこんどる」

恋「おんぶおばけも大分膨らんできたのぅ……ん?」

おんぶおばけ「!!」
ポン!!

福太郎「お、消えた小判に……してはなんやドロドロやな」

悠「な、なにこのべたべたしたの」

恋「おお、そうか。確か欲を出して背負うと拒んではなく松脂に変わるというな」

悠「……」

福太郎「……」

恋「……」

悠「お前が小判とかいわなきゃ欲とかでなかったのにー!!」

恋「う、うしろむきに追ってくるな―!!」

福太郎「けど、小判言わんかったらおぶらんかったやろうけどね……あっ。」

べちゃぁ……





ー福太郎の部屋ー

メリー「おかえりなさーい。あれ、なんでおんぶしてるのー?」

すっきー『恋ちゃんさん、怪我でもしたんスか?』

ようよう「それともおんぶおばけの真似か?」

福太郎「んー……松脂ってどうやったらはがせるんやろな」

悠「服を切るしかないだろうな……」

恋「絶対悠の服じゃぞ!!わかっておるなっ!!」
74/100ページ
スキ