第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋:西口公園ー

悠「ふーくーちゃん、おさけのーもーぉ。」

福太郎「ん、かまんけど…………ここで?あと、よう見っけたね。俺のこと」

悠「あー、それに関しては……。帰ってる途中に福ちゃんの気配を感じ取ってな匂いを嗅いで追ってきた」

福太郎「んー……なるほど」

悠「ふふん」

福太郎「っで、ホンマは?」

悠「そこで見かけたから声かけた。」

福太郎「せやろね」

悠「当然だおれは犬じゃないんだぞ」

福太郎「なんで、そこで怒っり気味なのかが分からんのやけど」

悠「おれを動物に例えたら……わかるだろ?」

福太郎「んー……タスマニアデビルやな」

悠「肉食有袋類。別名、フクロアナグマ!!」

福太郎「ようしっとるね」

悠「哺乳綱フクロネコ目フクロネコ科タスマニアデビル属……あ、ネコ入ってる。なら良しとしよう」

福太郎「納得したんや」

悠「けど、タスマニアデビル言われたのは初めてだわさ」

福太郎「俺もひとにタスマニアデビルに似とる言うたんは初めてや」

悠「そんなに似てる?」

福太郎「いや、そこまで深い意味もっていうた分けとちゃうから適当に流してくれてええよ」

悠「じゃあ、ちゃんとおれを動物に例えるとなんなのか答えてもらおうか!!」

福太郎「悠ってときどき意固地っていわれん?」

悠「ウザいとかよくいわれる」

福太郎「……いじめ?」

悠「そのくらいでいじめとかいってたらおれは生きてけないよ。親戚陣になんてほぼ脅迫レベルの言葉を浴びせられてきたんだからな」

福太郎「っで、その親戚陣は?」

悠「ふふっ」

福太郎「んー、かまん。ストップ、聞かんかったことにしといて」

悠「まぁ、その話しは酒の肴に置いとくか」

福太郎「絡み酒?」

悠「福ちゃんはなにしてたんだ?こんな時間までブラついてるの珍しい」

福太郎「レンタルビデオの返却日が今日までだったん思い出して返して、ついでに借りてきたんよ」

悠「なにAV?」

福太郎「ううん、大分まえにやっとったドラマ」

悠「福ちゃんドラマ好きなのか?おれもtrickとかチームバチスタの栄光とかガリレオとかは見るけど」

福太郎「大好きなんやね」

悠「わりとスキー」

福太郎「俺はあんまり見んのやけど、メリーちゃんらが昼間の再放送みて頭から見たぁなったらしいんで借りて来たんよ」

悠「あいつらテレビっ子か」

福太郎「まぁ、暇なんやろな……。」

悠「メリーちゃんとようようは別にあそこ以外でも出歩けるんだろ」

福太郎「みたいやけど、すっきーはタンスの隙間かおれの部屋間だけみたいやし。かといって物に触れれんけん……暇やろ」

悠「そりゃ暇にもなるか……よし、じゃ今夜はたっぷりと絡んでやろう」

福太郎「そういう解決策?」

悠「ダメか?」

福太郎「んー……まぁ、ええかな」

悠「よし、言質取った。やるぜ、おれは」

福太郎「ただ、暴れて物は壊さんといてな」
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