第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「せーの」

クロ「よいしょ……」
ストッ

メリー「ここにいるの?」

福太郎「んっ、おるっぽい」
さわさわ

クロ「あんまり触るなよ一応女だぞ」

福太郎「むしろ女性やから触りたいってのもあるやん」

お仙『確かニ』

クロ「やかましいわ!」

「ぅっ……」

メリー「あ、ご主人様。気がついたみたい」

福太郎「ホンマ?」

「ぁっ……」

クロ「おい、お前。透明人間か」

「……」

クロ「……あ?」

福太郎「ん?まだ、気ついてないんちゃうん?」

お仙『どレ』
すっすっ、ぺしっ!
「ぁぅ…」

お仙『起きてるゾ』

福太郎「んーっ、てことは黙秘?」

クロ「なんの黙秘だよ。」

メリー「ねーねー、なんで喋らないの」

「……っ」

福太郎「んっ?みんなシッ!テレビも消して」

クロ「は?」

お仙『ほいヨ』
プッ

「ぼそぼそ(すいません、夜分遅くに突然お邪魔してしまって)」

メリー「あ、喋ってる」

クロ「声ちっちゃ…」

お仙『腹声出セ!』

「ひっ!」

福太郎「こらこら」

お仙『だっテー』

クロ「これはお仙が正しいだろ」

お仙『え、デレ?デレタ?』

クロ「黙れ」

福太郎「声が小さいひとやっておるやろ。」

メリー「そーだよ!透明人間さん、平気?」

「んっ……は、はいっ」

お仙『まだ小さいけど、さっきより聞こえるナ』

福太郎「透明人間さんでええんかな?」

小袖の手「いえ……私は小袖の手です」

お仙『小袖の手?』

福太郎「それって小袖(袖口の狭い高級な和服)の袖から、幽霊らしき女性の手が伸びたいう話の小袖の手?」

小袖の手「はい、それです…」

クロ「でも、手ってか身体あるじゃん」

お仙「しかも服はないシ」

小袖の手「それが私が憑いていた着物がなくなってしまって気がついたら他の浮遊霊と混じってしまってこんなことに…」

福太郎「んー、こんなことにってどんなことになっとるん?」

小袖の手「ほぼ、人の形を成しています。」

福太郎「んー……あ、せや。確かラムさんにもらったお札に実体化するやつあったよな。あれ貼ってみよ」

小袖の手「お、お札?!」

クロ「外はないから安心しろ。てか、動くな見えないから普通にわからない」
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