第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

こんこん!こんこん!

クロ「……」
ガチャ

福太郎「居らん?」

クロ「ああ、居ない。」
パタン…サッ…

お仙『よーシ。』

コンッ…
クロ「オラぁっ!」
ドゴッ!ゴンッッ!
「ぐぇっ!」

福太郎「当たった……みたいやな」

メリー「すっごい音した……」

クロ「ふざけやがった。誰だ?あ?」

福太郎「どしたん?」

クロ「誰も……いない?」

福太郎「ん?せやけど今ええ音したで?」

お仙『声も聞こえタ』

クロ「私も手ごたえは感じたんだけど……誰もいない」

福太郎「んん?」

「ぅぅ……」

福太郎「ん?今何か聞こえんかった?」

クロ「あ?風と雨の音だろ。もうドア閉めるぜ」

福太郎「んー……」

こんっ!

クロ「あん?」

お仙『なに感じてル?』

クロ「外に放り出すぞ。じゃなくて、なんだこれ、ドアに何かが引っ掛かってる?」

キィィ……こん!キィィ……こん!

福太郎「何かに当たる音しとるけど、なんも落ちてない……あれ?」
スッスッ……ぺし!

クロ「今度は何だよ」

福太郎「何かあるここ。この肌触り……人間?」
さわさわ

クロ「は?」

福太郎「ほら、ここ」

クロ「あ、ホントだ。なんかあるな。」
さわさわ

福太郎「これは足?手かな?」

クロ「そうなるとこう伸びていって……あ、ここが腰だ」

お仙『パントマイム?』

福太郎「いやいや、ここに透明なひとが倒れとる」

メリー「透明なひと……透明人間?」

福太郎「透明人間かぁ。どないする?」

クロ「どうするって……こいつ、気絶してるんだよなきっと。」

クロ「ドアでふっとばされて、さらにガンガンぶつけたしな」

福太郎「んー、とりあえず部屋ン中、運ぼうか」

クロ「マジかよ…」

福太郎「お仙。バスタオルと新聞を床に敷いて」

お仙『あいサー』

福太郎「クロ」

クロ「頭か足持てばいいんだな」

福太郎「んっ、その前に大事なこと」

クロ「なんだ。」

福太郎「男か女かチェックして」

クロ「……」

福太郎「いや、俺がしてもええんやけど、胸触って女性やったらあれやん」

クロ「分かったよ…………ん、女だこれ。」

福太郎「全裸?」

クロ「いや、服は着てるっぽい。濡れてるけど」

福太郎「んっ、ほんなら、はこぼか。」

クロ「まったく…」
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