第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

骨女『はい、なにかよくわからないものを細かく刻んで油であげたもの』

クロ「本当に頼みやがった…」

布都「気にななるであろう」

ラム「見た目はいたって普通のコロッケね」

福太郎「味も普通のコロッケらしいで、お仙曰く」

お仙『うん、コロッケダ』

クロ「いや、原材料は何なんだよ」

骨女『なにかよくわからないものです』

布都「逆に怖いわ!」

福太郎「聞かん方が幸せってことありますやん?」

ラム「今してたのってそんな話だっけ?」

福太郎「多分。っていうか、食べへんの?」

布都「勇気が……いる」

お仙『お仙のおは勇気のオ!がぶッ!』

布都「食べおった!!」

クロ「っていうか、「勇気」「お」かかってねぇし!!」

福太郎「お勇気」

ラム「すこぶるダサい感じになったわね。」

お仙『うん、うまイ』

福太郎「美味しいんや…」

お仙『カレー風味のコロッケ』

ラム「カレー風味なの?」

骨女『カレー風味なんし?』

抜け首「カレー粉は使ってないで」
パタパタ

布都「ぬっ!首がきよったぞ!!」

福太郎「彼女抜け首さんやねん。」

クロ「カレー粉使わないのにカレー風味……ますます怖い」

ろくろっ首「食べれないものは使ってへんよ。なんかようわからんだけで」
ふよふよ

布都「また首ぞ?!」

福太郎「もうひとりはろくろっ首さんやねん」

クロ「ってか、それがすでに食べれるかどうかわかんないだろ」

絡新婦「毒はないし、な」

二口女「まあーそうだね」

布都「むむっ、むむむっ!いつの間にやら妖怪に囲まれておる!」

骨女『いまさらですがこの人は人間ですか?』

福太郎「人間……なん?」

布都「我はひとにあらず!尸解仙なり!」

骨女『しかいせんってなんです?』

福太郎「んー、それでようやく仙人仙人いうとるんがわかったわ」

クロ「どういうことだ?」

福太郎「えーと、まず仙人いうんは、中国の道教において、仙境にて暮らし、仙術をあやつり、不老不死を得た人を指すんよ。羽人、僊人ともいうて道教の不滅の真理である、道(タオ)を体現した人とされとるんよ」

ラム「仙人は基本的に不老不死だけど、自分の死後死体を尸解(しかい)して肉体を消滅させ仙人になる方法があるの。これを尸解仙というのよ。羽化昇天(衆人のなか昇天することを白日昇天という)して仙人になる天仙、地仙などがあるけど、位は尸解仙が一番下なの。」

福太郎「ちなみに西遊記で孫悟空は「妖仙」とかって蔑称されてて。神仙、真人もほぼ同義やけど、用いられ方にニュアンスの違いがあるんよね。」

「「「『おー!』」」」
パチパチ、パチパチ

福太郎「まさかの拍手…」
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