第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

布都「おおっ?!おおおおっ!!」

クロ「なんだよ」

布都「これは遠見の術か?」

クロ「は?」

『本日の最初のニュースは……』

お仙『テレビカ?』

布都「てれび?」

福太郎「んーと、遠見いうたら、遠見やけど。アレやな。ここに映っとる人とかおるやん」

布都「うむ。」

福太郎「これを色んな人に見せられる箱。」

布都「つまり遠見ではないのか?」

福太郎「いやいや、俺個人だけに映しとるんちゃうんよ。もっとひろーく映しとるんよ」

布都「どういうことだ?もっとわかりやすく説明してくれ。」

福太郎「ええと……あ、ちょいまって。例えばこの紙にこう大きい円を描きます」

布都「うむ。」

福太郎「これを仮に幻想郷全土とします。」

布都「ふむふむ。」

福太郎「んで、ここに布都ちゃんの家があるとするよな?」
描き描き

布都「我の家は太子さまの家だぞ」

福太郎「はいはい、ほんなら太子さんの家と……」
描き描き

布都「むふぅっ!」

クロ「満足げな顔してやがる…」

福太郎「ほんで、例えばここに俺の家があって、布都……太子さんの家から、俺の家の様子が見えたら遠見やな?」

布都「うむ!」

福太郎「せやなくて、こっちにクロの家、こっちにメリーちゃん、ここにお仙の家があるとして……こう、みんなが俺の家をこの箱から見とることになっとるんよ」
描き描き

布都「ほう。つまり複数の者が遠見しているのか?」

福太郎「ざっばにいえばそう。やけど、今しとるんはニュースな」

布都「にゅーす?」

福太郎「新聞にのっとることを発表しとる感じ」

布都「新聞だとぉ?あんなもの天狗が作っていて何も信用できんではないか」

クロ「それは幻想郷でだろ。こっちの新聞とかニュースは大事な情報源なんだよ」

布都「大事な情報源?」

福太郎「例えば事件が起こったら何時にどんな事件がどこで起こりましたとかって情報がすぐに流れる。」

布都「なぬ?!」

クロ「事件だけでなく、一週間の天気予報とか気温、行事ごととか色々だ」

布都「な、なんと……!!」

お仙『あとCMとかナ』

布都「しーえむ?」

福太郎「コマーシャルっていうか、宣伝?」

布都「宣伝……勧誘活動のことか!!」

福太郎「そういうんもないことはないけど……。例えば何々屋さんで何が発売しました~とか、今日どこどこのお店は割引してます~とか。」

布都「なるほど……確かに全員が目にするのであれば、店の品を紹介すれば、その店にひとが集まるな!すごい!凄い術ではないか!!」

福太郎「術ではないんやけどな……」

布都「は、ま、まさか……」

福太郎「え、なに?」

布都「人間といいながら、このような術を使い、食事も出せて、しかも妖怪を下僕にしている……」

クロ「誰が下僕だ!」

布都「お前……いや、アナタは仙人なのだな!」

福太郎「いや、違います。ただの脆弱な人間です。」
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