第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー首姉妹の部屋ー

福太郎「すんませーん」

ろくろっ首「はい~?」

福太郎「どうも」

ろくろっ首「あ~福君、どうも~。どうぞ~」

福太郎「はい、おじゃまします」

ろくろっ首「邪魔するんやったら帰って~」

福太郎「ほな、またくるわ~。って、なんでやねん」

ろくろっ首「うふふ」

福太郎「あはは」

抜け首「なに、玄関先で吉本しとるねん」

ろくろっ首「あ、抜けちゃんもやる?」

抜け首「そういうんはノリでやるもんであってやるいうてからやりだしたらアカンやろ」

福太郎「プロの域やな」

抜け首「いや、芸人やないけどね」

ろくろっ首「それで福君どないしてん?不思議なダンジョン入りに来たん?」

福太郎「んー、俺が入ったら五分ともたんからやめとくは」

抜け首「たまに獣の声とか聞こえてくるんよな…」

福太郎「それ怖いなぁ」

ろくろっ首「管理人さん曰くちゃんと蓋しといたら下からは出てこれへんらしいんやけどね。」

福太郎「安全性は完璧なんや」

抜け首「まぁ、そやないと困るからな」

福太郎「そんでまぁ、それは置いといて話は戻すんやけど」

抜け首「うん」

福太郎「二人の歓迎会しよって話になってな」

ろくろっ首「え~、ホント?嬉しいわぁ」

抜け首「なんや悪いな」

福太郎「まぁまぁ、せっかくのご近所なんやし、それで日程いうか、開いとる日ある?」

抜け首「週末なら平気やで」

ろくろっ首「お店も休みやし~」

福太郎「ちなみに昼間は平気なん?」

抜け首「平気やで。骨子とちごーてうちらは人間にまだ近いし」

福太郎「んー、骨子ちゃんはやっぱ日光ダメなんや」

ろくろっ首「まるで駄目いうわけやないんやけど、やっぱり夜型なんよな~」

福太郎「そういう意味やったら、二口さんやジョロさんは日中もバッチリやんな」

抜け首「お化けやなーて妖怪やしな」

福太郎「んー、なるほど。ほんなら、まぁ、今週末にでもってことで」

抜け首「うん。あ、ほんなら電話番号教えとくわ」

福太郎「携帯あるん?」

ろくろっ首「まだプリペイドのやけどね~あるどないんでは違いが大きいし」

抜け首「っていうか、ろくちゃんが迷子になるからなんやけどね」

ろくろっ首「あぁーん、言わんといて~」

福太郎「そういえば初めて会ったときも迷子ってたな」

抜け首「そうなんよ。この娘、なんでか迷子になるねん」

ろくろっ首「はぐれたと思ったら抜けちゃんが行きそうなところにいっとるんやけどね~」

福太郎「迷子の鉄則は、迷子になったらその場から動かんことやと思うんやけどな」

ろくろっ首「え~?」

抜け首「この調子やからなぁ。うちがしっかりせなアカンねん」

福太郎「抜け首ちゃんも似たり寄ったりなところ有りそうやけどね」

抜け首「なんでやねん!」 
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