第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「休憩しよーってことになったんはええんやけど、俺の部屋?」

ろくろっ首「うちには今何もないの~」

抜け首「そうなんよ、すまん」

福太郎「んー、それもそうやな」

悠「やべぇ、関西人が三人いる」

福太郎「緋斗くん居ったらさらに増えるな」

悠「あれは似非だし……あれ、それより揺光しらね?」

福太郎「言われてみたら……あやかし屋から出た時はいっしょやったよな?」

ろくろっ首「でも、私たちの部屋ではみてないで~?」

抜け首「外にもおらんかったし……帰ったんとちゃうん?」

悠「気まぐれコンコンだしなぁ」

福太郎「なんか可愛いな」

ガチャ

揺光【お帰り】

クロ「あ、終わったのか」

福太郎「んっ……揺光さん、俺の部屋おったんや」

揺光【力仕事は苦手じゃからな】

悠「お前尻尾で岩とか平然と持ち上げられるだろう」

揺光【それより、これを一寸(ちょっと)見てくれ】

お仙『……』

福太郎「お仙がどないかしました?」

お仙『ファイヤー』
ぼおぉぉぉ

福太郎「わー……指先から炎がでとるぅ……」

揺光【暇つぶしに改造してみた】

悠「なにをどう改造したらこうなる……」

揺光【大したことはしておらんぞ。ちょっと霊力の流れをいじっただけじゃ。ただ、ひとつ難点といえば……】

お仙『プシュュー……』
へなへな

ろくろっ首「あれ、どないしてん?」

お仙『お腹……すいタ……』

揺光【燃費がすこぶる悪いところじゃな。】

福太郎「強い技は代償も大きいってことやね。」

お仙『うぅゥ……』

揺光【ほれ、血を飲め】
ぐっ
悠「なに自然とおれの腕ひっぱってるの?!」

揺光【余っとるじゃろ?】

悠「余ってたとしても!!」

福太郎「はい、トマト」

お仙『かぷっ、じゅるるるル……』

抜け首「トマトでええんかい!」

福太郎「普通にご飯も食べるけどね。血とか飲ませるんはちょっと怪しいし……」

悠「そうでもないよ。うちの白巳は必ず血肉ジュース飲んでるよ」

福太郎「それって高い?」

悠「わりと値段は高いけど、まとめて注文したら割引聞くよ」

抜け首「血肉ジュースってなんやねん…」

悠「今度じっくり説明してやる」

お仙『じゅるるっ……ふー、落ち着いタ』

ろくろっ首「凄いトマトの皮がペラペラや」

悠「湯むき要らずだな」

クロ「中身吸われてるだろ」

揺光【やはり一度死体になったあとだと、霊力に関しては操りやすいの】

悠「そうなんだ」

揺光【うむ。死んで冥土の氣を吸っておるからな】

福太郎「ほんなら死にかけたことがある悠も霊能力とかつかへんの?」

揺光【死にかけていても死んだわけではないからな】

悠「なるほど」
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