第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋:空き部屋前ー

冥「ということでこちらが夢見長屋です」

悠「ナ」

冥「……」

悠「……」

冥「まずは一階の部屋から見学どうぞです」

悠「ナ」

冥「にゃ王怨殺黒ネコ破ーーーにゃ!」
ズゴオォォ!
悠「ぎゃあああぁっぁ!」

福太郎「幽白みたいな必殺技でたー!」

ろくろっ首「わー、花火みたいやねー」

抜け首「夏やなー」

冥「はい、それでは中にどうぞですナ」
ガチャ

悠「新聞なら結構です」

冥「どうやって忍び込んだのナ!」
べしっ!
悠「見た目より痛い猫パンチ!」

福太郎「今日は全力でボケてくなぁ」

抜け首「いや、本当にどうやって忍び込んだんよ」

悠「ふうせんに乗ってきました」

ろくろっ首「風船おじさん?!」

福太郎「そんなメルヘンチックなのりもんやったらヒマラヤの方にいって遭難するで」

冥「はい、それじゃあ中を案内しますナ。一階は全室畳になってますナ」

抜け首「へー、あ、畳のええ香り」

ろくろっ首「どれどれ~くんくん、ん?ええ香りやけどイチゴ?」

悠「ファブリーズ二連打ちーー!」
ファブファブ!
ファブファブ!

福太郎「これは大人の香りミッドベリー」

冥「うっとおしいのナ」
プシューー!
悠「ぎゃーーー!」

福太郎「なにかけたん?」

冥「催涙スプレーですナ」

悠「目がー!目がー!!」

抜け首「だ、大丈夫か?」

悠「メガーーー粒子砲!!」

冥「お風呂はこっちですな」

ろくろっ首「抜けちゃん、ユニットバスじゃなくてちゃんとしたお風呂だよー」

抜け首「そら、畳部屋なのにユニットバスではないやろ」

悠「スルーが一番悲しい」

福太郎「先走りすぎやって、もうちょい一個一個ボケを消化してから次いかな」

冥「トイレはもちろん洋式ですナ。」

ろくろっ首「よかったー」

抜け首「うん、ええ感じやな。」

冥「あとは……あ、そうそう。こっちの床下収納についてナ」

福太郎「床下収納やあるん。」

冥「この部屋だけの特典ですナ。」
パカッ

悠「なんか深くね?普通にひととか入れそうなんだけど。よっと……」
ひゅーー……

冥「不思議なダンジョンと繋がってて収納し放題ですナ」

福太郎「入れたもんを取りに行くたびにダンジョン潜らなあかんね」

冥「ですから、使うのなら近いところに物は収納してくださいナ」

ろくろっ首「ダンジョンやて~」

抜け首「ダンジョンついとってもなぁ」

福太郎「悠ー!閉めるでー!」

悠「はぁはぁはぁ……。危うく迷うところだった。はい、これ薬草と大きいおにぎり……。」
 
福太郎「ちゃっかりアイテム回収してくるところが流石やな」

冥「じゃあ、次は二階の空き部屋に行きますナ。あ、悠ちゃん、同じボケはしなくていいのにゃ」

悠「止められた……だと」
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