第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「基本的に避けて殴り返すなんてのはまず無理だ。だから確実にいきたいなら殴られて殴り返す。一発殴られた瞬間全力を込めた一発を腹、欲を言えば顎ないし鼻っ柱にブチかませば……高確率で動きを止められる」

福太郎「なるほどなぁ、せやけど……殴られたら俺の場合一発で終わるで?自慢やないけど力の無さはフナムシ程度やし」

悠「フナムシの速さがあれば逃げ切るっていう方法もある」

福太郎「フナムシはものの例えですゃん。そんな走るん速いほどの体力もないでんがな」

すっきー『さっきからなに物騒(?)な話してるんです?』

福太郎「んー、ちぃーっと悠に護身術をなぁ」

すっきー『護身術』

悠「ここに来る途中のことだ、たまたま福ちゃんを見つけたんだ頭悪そうなガキにカツアゲされててな、もちろんおれが友好的かつ平和的に話をつけてその場は収まったんだけど」

福太郎「悠、言い難いんやけどそこにすっきーおらんで、こっちや、こっち」

悠「ここ?」

福太郎「もーちょい右、あ、行き過ぎ……そー、そこや」

すっきー『別にまえに座らなくても私からは声聞こえるし……』

悠「んーっ」

すっきー『ぬぁーっ//見えてないのになんで正確にキスしようとしてくるんスか!!』

悠「んー……あたった?」

福太郎「アカン、外し取る」

悠「ちっ」

すっきー『アカンってなんなんすか!っていうか、舌打ちしたいのはこっちすよ!!』

ようよう「しかしカツアゲとは穏やかじゃねぇな」

福太郎「まったくや」

悠「今でも居るんだよな……金を巻き上げようとする馬鹿は」

福太郎「楽して儲けたい気持ちは全然わからんわけやないけど犯罪はアカンは……せやけど、あの子らはもう二度とせんやろ」

悠「どーかなぁ、ガキなんざすぐに忘れちまうぞ」

福太郎「正座させて一人ずつ頬張っていったんは何処の誰や。」

悠「教育的指導だ」

ようよう「さっき平和的に話をつけたっていうのは誰だい?」

悠「平和的だよ。病院送りにしてないし、これが崇だって見ろヘタしたら明日から池袋歩けなくなってるところだぞ」

ようよう「誰だよ」

福太郎「ストリートギャングの王様」

悠「福ちゃんあったことあるの?」

福太郎「全然、やけどネットとか見よったら普通に情報は入ってくるし」

悠「なるほど。それより今から飯でも食いにいかないか?」

福太郎「んー……ちょっと今手持ちが厳しいんやけど」

悠「奢ってやるよ」

福太郎「そら、おおきに。どないしたん?」

悠「いや、普通にさっき軍資金はいったし」

福太郎「さっき?」

悠「うん、ほら、正座させたガキどもから迷惑料として支払わせたのが」

福太郎「……」

悠「……」

ようよう「カツアゲじゃねーか」

悠「違う違う、迷惑料だよ。いや、それ以前におれだって普段はこんな真似してないよ?ホント、ただ、誠意を示せって言ったら財布出してきたんで……本当は土下座しろって意味だったんだけどくれるならもらっとけばいいかなぁって……」

すっきー『一番危ないのはこの人じゃないっすか?』

福太郎「んー…………ま、ええちゃう?」

すっきー『ある種、福さんも怖いひとですね……。』
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