第仇夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

福太郎「まいど」

骨女『いらっしゃいませ~』

福太郎「冷たいお茶と……あ、あんみつあるん?」

骨女『はい、暑くなってきたので餡蜜とアイスを始めましたよ』

福太郎「何アイス?」

骨女『骨アイスブラッドソース添えとグリーンモンスターアイス闇添えです』

福太郎「日本語でオケ?」

二口女「バニラアイスのイチゴソース添えと抹茶アイスの小豆添えだよ」

骨女『なんで二口ちゃんがいうんですか~!私が説明しようと思ったのに~』

二口女「いらぬ手間をかけすぎてるからだよ」

福太郎「はは、ほんなら、アイスもええけど餡蜜にしとこかな」

二口女「兄さん、どうだい。私にもいっぱい驕ってくれたら隣に座ってあげるよ」

福太郎「ええよ。驕ったげる」

二口女「ありがとう。餡蜜もういっぱい追加ね。」

骨女『すいません~。あそこの二口が』

福太郎「なんなら、骨子ちゃんも食べる?」

骨女『いえいえ、そんなぁ……ありがとうございます。ごちそうになります~』

絡新婦「最初の遠慮するそぶりはになんなんだ…」

福太郎「ジョロさんは?」

絡新婦「わ、私もいいのか?」

福太郎「ここまで来たら全員分驕らんのはわるいやろ」

骨女『ひゅ~、福太郎さんの太っ腹~女妖たらし~』

福太郎「ホンマの蕩しはこんなもんちゃうで。もうホンマ……すごいで」

二口女「蕩しの知り合いがいるのかね?」

福太郎「みんなもご存知の人やで」

骨女『ということで、首姉妹さん~餡蜜を六人前おねがいしますなんし~』

「「はーい」」

福太郎「しかし、最近暑いよな」

骨女『ここら辺はだいぶん涼しい方ですけどね。』

福太郎「言われてみればそうやな」

二口女「まぁ、日が暮れてからしか開かないし、ここら(集合墓地)自体がそんなに日差しがいい場所じゃないからね。」

絡新婦「逆に梅雨が心配だね。ムシムシしそうで」

骨女『あちきは暑いも寒いも結構平気なんですけどねぇ』

福太郎「骨やもんな」

骨女『うふん』
スルッ、ちらっ

福太郎「健康的なしっかりとした肩骨だことで……」

二口女「がっかりヌードってやつだね。」

骨女『でも、福太郎さんは骨の私を綺麗っていってくれましたよね?』

福太郎「んっ、骨からでもなんとなく肉付け再現できたしな。それに肉付いて見たら全然悪いタイプやないやん。」

骨女『ほら、眠そうな瞳がマニアック可愛いって大絶賛』

絡新婦「そこまでいってないだろう」

二口女「自分でいってたら世話ないね。」

抜け首「は~い、餡蜜やで。」

ろくろっ首「福くんおーきにね~」

福太郎「いえいえ」

抜け首「……」
きょろきょろ

福太郎「んっ、ごめん、今日は悠いっしょちゃうよ」

抜け首「はっ?!なんでわたしにいうねん!」

福太郎「さがしてなかった?」

抜け首「探すかい!」

ろくろっ首「も~抜けちゃんたら照れて~」

抜け首「照れてへんわ!」

福太郎「こういうんが蕩しの神髄やで」

骨女『なるほどなぁ~』
12/100ページ
スキ